集団とエリートの理論
集団の噴出
必ずしも順調に機能しない大衆民主政に対して、1910年代から20年代にかけて、さまざまな代替案が提出されるようになるが、その内容は、議会民主政が比較的順調に運営されていたイギリスのようなところと、遅れて議会制度が整ったロシアやドイツなどでは、きわめて対照的な方向を示した。
イギリスではハロルド・ラスキらが、当時勢力を増しつつあった労働組合などの団体に国家と同等の地位を認めることで、国家主権を制限すべきであるという「政治的多元主義」を唱えた。
「政治的多元主義」 国家のみが人間にとって本質的な共同体である保障がない以上、種々の集団に人間のいろいろな面を代表させるという議論である。
コール「ギルド社会主義」構想議会の代わりに、消費者・生産者といった人間の諸側面を個別に代表する「ギルド」組織がそれぞれ地区単位で形成され,それらが集まって全国的な組織にまで統合される。そして、全国レベルで利害関係の調整がなされるというのである。
こうしたイギリスの議論は、代表を機能的に分化させ、より一層多元的にすることで、民主政を再建しようとする議論である。マルクス主義の関係でいえば、彼らを含め、一般にイギリスの社会主義者たちは、議会制と社会主義の両立可能性を信じ、革命によらず漸進的に社会主義に移行するという展望を持っていた。
一方、フランスには、ジョルジュ・ソレルのような
集団とエリートの理論
集団の噴出
必ずしも順調に機能しない大衆民主政に対して、1910年代から20年代にかけて、さまざまな代替案が提出されるようになるが、その内容は、議会民主政が比較的順調に運営されていたイギリスのようなところと、遅れて議会制度が整ったロシアやドイツなどでは、きわめて対照的な方向を示した。
イギリスではハロルド・ラスキらが、当時勢力を増しつつあった労働組合などの団体に国家と同等の地位を認めることで、国家主権を制限すべきであるという「政治的多元主義」を唱えた。
「政治的多元主義」 国家のみが人間にとって本質的な共同体である保障がない以上、種々の集団に人間のいろいろな面を代表させるという議論である。
コール「ギルド社会主義」構想 議会の代わりに、消費者・生産者といった人間の諸側面を個別に代表する「ギルド」組織がそれぞれ地区単位で形成され,それらが集まって全国的な組織にまで統合される。そして、全国レベルで利害関係の調整がなされるというのである。
こうしたイギリスの議論は、代表を機能的に分化させ、より一層多元的にすることで、民主政を再建しようとする議論である。マル...