強制わいせつ罪の成否

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    資料紹介

    【判例】最高裁昭和45年1月29日 
    被告人Xは、内妻A女がB女(当時23歳)の手引きにより東京方面に逃げたものと信じ、これを詰問すべく、アパート内の自室にB女を呼び出し、A女とともに、約2時間にわたりB女を脅迫し、B女が許しを請うのに対し、その裸体写真を撮ってその仕返しをしようと考え、「五分間裸で立っておれ。」と申し向け、畏怖している同女を裸体にさせ、これを写真撮影した。被告人Xの罪責について論ぜよ。      

    1 本件では、XはB女を脅迫し、畏怖している同女を裸体にさせ、これを写真撮影した。Xは、自らの性欲を満たすためでなく、ただ嫌がらせ目的で相手の性的羞恥心を害する行為をしているが、この行為が強制わいせつ罪(176条)にあたるかが問題になる。
    私見によれば、Xに強制わいせつ罪が成立する。以下、強制わいせつ罪の意義、要件、行為について検討しつつ、その理由を述べる。
    2(1)「わいせつ」の意義は、性的風俗を保護法益とする公然わいせつ罪、わいせつ物頒布罪における「わいせつ」と基本的には同じである。すなわち、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいう。

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    【判例】最高裁昭和45年1月29日 
    被告人Xは、内妻A女がB女(当時23歳)の手引きにより東京方面に逃げたものと信じ、これを詰問すべく、アパート内の自室にB女を呼び出し、A女とともに、約2時間にわたりB女を脅迫し、B女が許しを請うのに対し、その裸体写真を撮ってその仕返しをしようと考え、「五分間裸で立っておれ。」と申し向け、畏怖している同女を裸体にさせ、これを写真撮影した。被告人Xの罪責について論ぜよ。      
    1 本件では、XはB女を脅迫し、畏怖している同女を裸体にさせ、これを写真撮影した。Xは、自らの性欲を満たすためでなく、ただ嫌がらせ目的で相手の性的羞恥心を害する行為をしているが、この行為が強制わいせつ罪(176条)にあたるかが問題になる。
    私見によれば、Xに強制わいせつ罪が成立する。以下、強制わいせつ罪の意義、要件、行為について検討しつつ、その理由を述べる。
    2(1)「わいせつ」の意義は、性的風俗を保護法益とする公然わいせつ罪、わいせつ物頒布罪における「わいせつ」と基本的には同じである。すなわち、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良...

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