1.トヨタ労使関係の基本構成要素
海外移転の視点から日本的労使関係を要素別に分けると、第一の要素は「理念」である。「理念」は「労使相互信頼」とそれを大前提として、企業の発展に労使それぞれの利益の接点を見い出し、「労使がそれぞれの協力により実現する」という極めて合理的なものであった。そして、第二の要素は、労働組合が企業内労働者の絶対多数の利益を代表し、職場に根ざした民主的な組織運営を行うことである。また、組織運営の二つ目の要素として挙げられるのは、「労使対等」と労使の「立場の相互尊重」である。最後に第三の要素は、基礎を成すマネジメントである生産性・品質などのパフォーマンスに向けた高いモチベーションとそれを継続的に生かすマネジメントである。
2.タイにおける企業内労使関係の実態
タイにおける労使関係は、反共産主義思想を基本に政労使による国家レベルの参加システムとして成立したもので、経営者団体とナショナルセンター、そして政府を交えた国の労働政策に関する社会的合意プロセスが、実際にどの程度実効性を有しているかについてはなお議論はあるものの、こうした政策の帰結として、タイにおいては、企業レベルでの労使関係に対する政策のウェイトは非常に希薄となっている。この点がインドネシアなど他のアセアン諸国との大きな相違であり、タイの特徴でもある。
『タイを例に、現地企業内労使関係の現状とトヨタ労使関係の移転にむけて解 決すべき課題とその解決方向について簡潔にまとめなさい』
1.トヨタ労使関係の基本構成要素
海外移転の視点から日本的労使関係を要素別に分けると、第一の要素は「理念」である。「理念」は「労使相互信頼」とそれを大前提として、企業の発展に労使それぞれの利益の接点を見い出し、「労使がそれぞれの協力により実現する」という極めて合理的なものであった。そして、第二の要素は、労働組合が企業内労働者の絶対多数の利益を代表し、職場に根ざした民主的な組織運営を行うことである。また、組織運営の二つ目の要素として挙げられるのは、「労使対等」と労使の「立場の相互尊重」である。最後に第三の要素は、基礎を成すマネジメントである生産性・品質などのパフォーマンスに向けた高いモチベーションとそれを継続的に生かすマネジメントである。
2.タイにおける企業内労使関係の実態
タイにおける労使関係は、反共産主義思想を基本に政労使による国家レベルの参加システムとして成立したもので、経営者団体とナショナルセンター、そして政府を交えた国の労働政策に関する社会的合意...