外国に紹介したい日本文学

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    • ページ数 : 3ページ
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    資料紹介

    この本は色々な視点から見る事ができ、見る視点によって物語の意味が大きく変わってくる。「先生」の遺書には先生のこころの自己弁護のフィルターがかかっている。「先生」の主観に取り込まれると、「先生」はなるべく客観的に書いているかのように見える。そのこころのフィルターを1枚1枚剥がそうと思いながら読むと面白い視野が開ける。フィルターがかかった「先生」の文章を漱石が書く、という入れ子構造に注意すべきだ。そして、Kの視点に立ったら、お嬢さんの視点に立ったら、はたまた先生の叔父さんの視点に立ったら…と考えながら読む。「本当に」起こった事は何なのか?その答えのない問いに答えるべく読むとその世界に浸れる。お嬢さんは悪女だったのか、先生の叔父さんは実は良い人だったのか。句や人物の行為の象徴的意味も考える。Kが襖を3回開けた事等。さらに、敢えて書かれていない文章がある事にも気づいてその書かれなかった意味を考える。最後に、漱石の世界観、人生観、女性観を考える。
    またしても前述と矛盾しているようだが、とりあえず難しいことを論点としてあげてはみたが、実際に読む時はそこまで深くは考えてはいないし、そんな必要もないと思う。小説の読みは決して一つではない。小説を読むとき、私達は一般的に共通した読みかたをしているし、それがあたりまえのように思いがちである。けれども、この一般化、固定化された読みは読者の置かれている環境や文化、時代によって違う受け取り方、新たな見方、読み方ができるのだ。そうすると新たな読み方ができる事がある。この作品を読む外国人にも自分自身の読みを探してもらいたい。小説を読む時は他人による内容理解や解説などに惑わされることなく、あくまでも自分の感性で読んで欲しいというのが私の本音だ。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    外国に紹介したい日本文学、と言われても今ひとつピンと来るものがなく、とりあえず子供の頃から現在までに私が読んだものをなんとなく思い返してみた。どちらかというと、子供の頃の方が読書好きで、恥ずかしながら最近はあまり本を読んでいないのが実情だ。なので、思い浮かぶのはローティーンの頃に読んだ若年層向けの純文学しかない。ある程度の年齢になってからは、もっぱら密室モノといったような推理小説しか読まなくなってしまった。推理小説も確かに文学ではあるし、単純に読んでいて面白いのだが、比較文学という講義内容にはふさわしくないのではないかと思った。日本文化学科でも中世、近世史のゼミに所属している私としては、やはりそういった関係の文学を取り上げた方がよいのかとも考えたが、あまり興味のあるものが思い浮かばなかった。今回取り上げた作品は、あまりにも有名な著者が書いたものなので、私が紹介しなくても、すでに外国でも知られているのかもしれないが、やはり私の中ではこの作品が今でも印象深い。彼は英語教師をしていたし、イギリス留学もしているのだから、イギリスではある程度の知名度があるのかもしれないが、詳しい事はよく知らない...

    コメント1件

    juliescfu 購入
    p
    2006/07/04 19:23 (18年5ヶ月前)

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