「『がん』など死へ直結するような病態の病名告知とその後の患者の心理的変化およびその対策について述べよ。」
がん告知については、インフォームド・コンセントにおいて、正しい情報の説明が義務づけられているならば、当然、正しい病名つまり「がん告知」はおこなわなければならないことになる。このがん告知こそがインフォームド・コンセントの第一歩と言えるからである。わが国では、従来から患者には正しい病状を説明しなくとも、家族には病状その他の説明をし、治療方法についても納得してもらうのが通例である。しかし、欧米社会ではがん告知は習慣化している。インフォームド・コンセントが強調され、社会状況が変化してきたなどの背景が考えられる。わが国でも今後このような欧米社会なみの時代に近づくことが予想される。
現在、4人に1人はがんで亡くなる時代である。いつ自分ががんになって死に直面する患者にならないとも限らない。時代の流れにそって知る権利、自己決定の権利を行使するならばがん告知を受け止めなければならない。しかし、人は死がすべての人に平等に与えられたことと知りながらも簡単に死を受け入れられる心理を持ちあわせていない。...