北原白秋による「薔薇二曲」は、二連形七行からなる文語自由詩、また叙情詩である。
五七調で綴られている本作品であるが、表記は漢字と片仮名に限定されており、これは漢字表記の部分を強調するために用いられた技法と捉えられる。他にも体言止めや脚韻など短い中にも様々な創意工夫を凝らされているのだが、その中でも一層際立つのは「ナニゴトノ不思議ナケレド」の反復であろう。続く言葉は読み手に委ねられているわけだが、その何の変哲も無い情景の中の美しさや感動を表す表現がここに当てはまると推測できる。
題目について言及すると「薔薇」は作品が薔薇の美しさを賛美した作品であることの表明、「二曲」はそれを音楽に通じる整った...