ニューヨーク建築
人種と文化が混在し,常に世界の最先端を疾走するニューヨーク。訪れる人を魅了し,圧倒する多くの建築物。ニューヨークがどのようにして現在の姿に至ったのか街の変化や建築様式の変化を交えながら論じたいと思う。
初期のニューヨーク
現在のニューヨークは,市全体としては5つの区からなるがその中心はマンハッタン区である。そもそもマンハッタンは長年アメリカン・インディアンの住む,極めて牧歌的な土地であり,地名自体も土着のインディアンが用いていた「丘の島」という意味を持つ言葉に由来する。
この地を初めて目にしたヨーロッパ人は,ジョバンニ・ダ・ヴェラツァーノというイタリア人であったと言われている。しかしすぐさまヨーロッパ人の侵略を引き起こすことはなかった。当時はヨーロッパ人の関心はアジアおよびそこに至るルートに向けられており,ここが利益をもたらす地とは思えなかったのだろう。定住が始まったのは1625年ごろからで,今日のロウアー・マンハッタンと呼ばれる土地から始まった。その際にフリードリックスというオランダ人技術者が,計画図を描いている。それが,いわばニューヨークの最初の都市計画であり,...