憲法 論証 部分社会の法理
1 いわゆる部分社会の法理とは、一般市民社会の中にあってこれとは別個に自律的な法規範を有する特殊な部分社会の存在を認め、そこでの法律上の係争は自主的・自律的解決に委ねるのが適当であるから裁判所の司法審査の対象とならないとするものである。
2 まず、同法理の肯否につき論じる。
そもそも、法の支配の要請から、全て司法権は裁判所に属するとされる(76条1項)。ここで、司法権とは具体的争訟事件について法を適用し宣言することによりこれを解決する国家作用をいうから、法律上の係争である限り司法審査の対象となるのが原則である。
しかし、自治的な団体の純粋な内部的事項についてはそれぞれの団体の自治を尊重して司法審査を差し控えることが、結社の自由(21条1項)や大学の自治(23条参照)等を保障し、団体の自律性を尊重しようとした憲法の趣旨に合致する。従って、団体の内部的事項については、法律上の係争であっても例外的に司法審査の対象とならない場合があると解すべきであり、この限りで部分社会の法理を肯定すべきである。
そして、同法理を適用すべきか否かは、①当該団体の自律性を支...