『ロマン主義とは何か、またその担い手たちはどういう意味でロマン主義的なのかをそれぞれ述べよ』
ロマン主義の起源は、今から200年ほど前のヨーロッパにあると言われている。そのロマン主義はどのようなものとして理解しうるか。また、ロマン主義の担い手であるとされる文学者たちの作品とはどのような点においてロマン主義的であったのだろうか。
本稿では、まずはじめにロマン主義の定義を行い、ロマン主義文学が成立した背景について論じたい。次に個々のロマン派作家について、「どのような点でロマン主義的なのか」について論じることにする。
ロマン主義とは、18世紀の後半から19世紀の初頭にかけてヨーロッパでみられた文学界の動向を指す。一般的には、18世紀に文学界を席巻した新古典主義が看過していた「自然への愛」と「想像力のはばたき」を回復しようとする動きとして理解できる。ただし、ロマン派にとっての「自然」は、たんに森のそよぎや小川のせせらぎというよりもむしろ、宇宙と人間に生まれながら(naturally)に備わった性質を意味していると言える。また、「想像力」についても同様に、気ままな空想を遊ぶ能力というよりはむしろ...