採択方式がどのように変わったのか、整理したいと思う。
?教職員による学校ごとの採択⇒都道府県教育委員会の指導・助言・援助をもって市町村教育会が行う。
?設定された採択地区においては、1教科1種の教科書を使用する。
?採択地区の法律的な規定はなかった⇒採択地区を設定するのは都道府県教委であり、その規模は県下の郡や市単位、もしくはそれらを合わせた地域とする。
?採択期間を設け、採択教科書は一定期間変更できないとする。
?発行者を指定。政府が定める「事業能\力及び信用状態」にない会社には発行を不認可。
(中略)
採択の権限を教師に与えるのか、教育委員会に与えるのかという二分論で考えがちであ
るが、私は現行の制度の中で教師や保護者・地域住民がより多く参加できるように「教科用図書選定審議会」を見直すことが必要なのではないかと思う。
2002年度夏学期 教育行政論 ファイナルレポート
教科書の無償化と広域採択制度の背景を探る
■ はじめに
5月末に行った中間報告では、新しい学習指導要領に基づく教科書の採択に際して大きな波紋を広げた扶桑社の歴史教科書を中心にして発表を行った。新しい歴史教科書をつくる会の重要人物である東大教育学部教授である藤岡氏と教育法学者浪本氏が、教科書採択過程を巡って議論を闘わせている『季刊教育法』という雑誌に大きく準拠してまとめる結果となった。中間報告では教科書の採択権の所在に限って議論をまとめてみたが、今回は教育における教科書の在り方という根本的な問題から、それに関する行政を、多少歴史的要素を取り入れつつ検討してゆきたいと考えている。本レポートを書き終えたところで何か達成感のごときものが抱けるのならば幸いだが、有意味なことと無意味なことを相互に画定するのではなく、今の自分に与えられた課題の1つを遂行できたのだと認識することで、自分の人生を跡付けることができればいいと思う。
■ 本論
1、教科書の定義
教科書は法令上教科用図書といわれる場合が多く、両者の語義の違いは現在ではないものと考えてよ...