酸化と還元 Do it ! ショート No.0
01 酸化と還元
酸化と還元
・
酸素と化合すること=酸化、酸素を元に還すこと=還元
* 高校では扱う酸素を介した反応以外にも酸化還元反応がある
・
「酸化・還元のされやすさ」を表す指標として、酸化数が用いられる * 「酸化されやすい=還元されにくい」
、「還元されやすい=酸化されにくい」のように逆の関係
* 酸化数が大きい(小さくなりたい) …還元されやすい(相手を酸化する)
* 酸化数が小さい(大きくなりたい) …酸化されやすい(相手を還元する)
・
酸化数の基本は、
「H=+1」
、「O=-2」を覚える
* 酸化数を表す時は、対象とする元素記号の下に下線を引き、書き表す * 実は酸化数は、電気的に中性な元素からの価電子の増減数(e
-が 1 少ない=酸化数+1)を表す
・
酸化数の総和は化学式の右上を見る(書いていない場合は 0、イオンは電荷)
2O の酸化数
H
2 O 酸化数の総和=(+1)×2+(-2)×1=0
+1
-2
例2:オキソニウムイオン H
3O
+の酸化数
H
3 O
酸化と還元 Do it ! ショート No.0
酸化と還元 Do it ! ショート No.1
例題 1 下線を引いた原子の酸化数を求めよ
01 酸化と還元
(1)
酸化と還元
・
・
・
・
Cu
(5)
Cl2
酸素と化合すること=酸化、酸素を元に還すこと=還元
(9)
3+
Cr
*
(13)
SO42−
高校では扱う酸素を介した反応以外にも酸化還元反応がある
「酸化・還元のされやすさ」を表す指標として、酸化数が用いられる
(17)
HCl
(2)
Cu2+
(6)
−
(3)
H2 S
(4)
H2 S
2+
(7)
Mn
(8)
MnO4−
(10)
Cr2O7
2−
(11)
H2O2
(12)
H2O2
(14)
K2SO4
(15)
SO2
(16)
NO
(19)
−
(20)
(COOH)2
Cl
(18)
HClO
*
「酸化されやすい=還元されにくい」、
「還元されやすい=酸化されにくい」のように逆の関係
*
酸化数が大きい(小さくなりたい)
…還元されやすい(相手を酸化する)
(1) Cu は単体。③より Cu の酸化数=0
*
酸化数が小さい(大きくなりたい)
…酸化されやすい(相手を還元する)
(2) Cu2+はイオン。④より Cu の酸化数=+2
酸化数の基本は、「H=+1」、
「O=−2」を覚える
(3) H2S は化合物。①より H の酸化数=+1
*
酸化数を表す時は、対象とする元素記号の下に下線を引き、書き表す
(4) H2S の S の酸化数を x とする(①より、H=+1)
*
実は酸化数は、電気的に中性な元素からの価電子の増減数(e−が 1 少ない=酸化数+1)を表す
酸化数の総和は化学式の右上を見る(書いていない場合は 0、イオンは電荷)
例1:水 H2O の酸化数
H
2
+1
O
H
3
O
(8) MnO4−の Mn の酸化数を x とする(②より、O=−2)
④より MnO4−の酸化数の総和=−1。x 1+(−2) 4=−1 より、Mn の酸化数=+7
酸化数の総和=(+1) 3+(−2) 1=+1
(9) Cr3+はイオン。④より Cr の酸化数=+3
−2
(10) Cr2O72−の Cr の酸化数を x とする(②より O=−2)
2―
例3:硫酸イオン SO4 の酸化数
*
S
O
x
−2
2−
4
1 ④より x 2+(−2) 7=−2
2 x=+6 なので、Cr の酸化数=+6
酸化数の総和=x 1+(−2) 4=−2
(11) H2O2 は化合物。①より H の酸化数=+1
∴
(12) H2O2 の O。⑥より O の酸化数=−1
以上を解くことにより、x=+6
酸化数は同じ元素でも値が異なるため、1 つ 1 つ計算していく必要がある
(13) SO42−の S の酸化数を x とする(②より O=−2)
表 酸化数の定義(暗記すべし)
1 ④より x 1+(−2) 4=−2
項目
酸化数
①
水素原子 H
+1
H2O
HCl
H2SO4
②
酸素原子 O
−2
H2O
H2SO4
CuO
③
単体、化合物
総和=0
Na(0)
H2SO4 (0)
H2S(0)
④
イオン
『符号』+『価数』 H+ (+1)
SO42− (−2)
MnO4− (−1)
⑤
単体中の H、O
0
O2
Cu
⑥
H2O2 中の O
−1
例
H2
+
H2O2
酸化数は対象となる原子に下線を引き、
『符号』+『数値』で表す
*
①〜④が主要規則(組合わせて使う)だが、①〜④で対応できない例外として⑤・⑥を使うことがある
*
イオン化合物の場合には、主要なイオンに分解してから考える
例:塩化鉄(III)FeCl3
1)FeCl3
Fe3++3Cl−、2)④の規則より、Fe→+3、Cl→−1
酸化数の定義は、電気陰性度に基づいて決められている(酸化数は原子状態からの、電子の過不足を表す)
例:過酸化水素 H2O2
1)H2O2 は H-O-O-H なので『H−O』と『O−H』に分割して考える(総和=0)
2)
2 x=+6 なので、S の酸化数=+6
2−
(14) 『K2SO4=2K + SO4 』なので(13)と同じ、S の酸化数=+6
*
*
(5) Cl2 は単体。③より Cl の酸化数=0
(7) Mn2+はイオン。④より Mn の酸化数=+2
−2
例2:オキソニウムイオン H3O+の酸化数
+1
③より H2S の酸化数の総和=0 なので、(+1) 2+x 1=0 より、S の酸化数=−2
(6) Cl−はイオン。④より Cl の酸化数=−1
酸化数の総和=(+1) 2+(−2) 1=0
+
NO3
『H−O』で、①の規則より H の酸化数は+1 なので、O の酸化数は−1
(15) SO2 の S の酸化数を x とする(②より O=−2)
1 ③より x 1+(−2) 2=0
2 x=+4 なので、S の酸化数=+4
(16) NO の N の酸化数を x とする(②より O=−2)
1 ③より x 1+(−2) 1=0
2 x=+2 なので、N の酸化数=+2
(17) HCl の Cl の酸化数を x とする(①より H=+1)
1 ③より(+1) 1+x 1=0
2 x=−1 なので、Cl の酸化数=−1
(18) HClO の Cl の酸化数を x とする(①より H=+1、②より O=−2)
1 ③より(+1) 1+x 1+(−2) 1=0、2 x=+1 なので、Cl の酸化数=+1
(19) NO3−の N の酸化数を x とする(②より O=−2)
1 ④より x 1+(−2) 3=−1
2 x=+5 なので、N の酸化数=+5
(20) (COOH)2 の C の酸化数を x とする(①より H=+1、②より O=−2)
③より x 1+(−2) 2+(+1) 1] 2=0 より、C の酸化数=+3
酸化と還元 Do it ! ショート No.2
参考:酸化還元反応の定義とその拡張
酸化剤と還元剤
・
酸化還元反応では、酸化される物質(還元剤)と還元される物質(酸化剤)がある
例:Fe2O3+3CO
Fe2O3
酸化と還元 Do it ! ショート No.3
1) 酸化=酸素 O を受け取る、還元=酸素 O を放出する反応
2Fe+3CO2
例:Fe2O3+3CO
Fe の酸化数に着目すると、+3→0 に変化
対象物質
=(自分は)還元された=(相手を)酸化した ∴Fe2O3 は酸化剤
一酸化炭素
C の酸化数に着目すると、+2→+4 に変化
CO
=(CO 中の)C は酸化数が増えた
酸化鉄(III)
=(自分は)酸化された=(相手を)還元した ∴CO は還元剤
表
還元(される)
酸素原子 O
得る
失う
②
水素原子 H
失う
得る
③
電子 e−
失う
得る
④
酸化数
増える
減る
⑤
*
・
酸化(される)
①
*
酸化剤と還元剤
Fe2O3
酸化と還元の分類(暗記すべし)
項目
(相手を)還元する→
還元剤
Fe +Cu
は
対象物質
フッ素
(相手を)酸化する→
F2
酸化剤
水
H2 O
は
は
例:Zn+Cu2+
浸す
+
100ml
60
40
20
20
Fe
4)
亜鉛
80
Zn
銅(II)イオン
2+
Cu
Cu
(Cu析出)
放置
2)
酸化剤
酸化した
酸化 or 還元
H 原子を
得た
H 原子を
失った
還元(された)
酸化(された)
相手の物質
(H2O を)
酸化した
(F2 を)
還元した
分類
酸化剤
還元剤
電子 e
−
酸化 or 還元
相手の物質
分類
2+
−
は
は
電子 e を
失った
電子 e−を
得た
酸化(された)
還元(された)
4) 酸化=酸化数が増える、還元=酸化数が減る
(Cu を)
還元した
(Zn を)
酸化した
還元剤
酸化剤
*(酸化数の定義は後述)
2KCl+I2
表 酸化還元反応と酸化数
100ml
Fe は Fe2+になった
80
100
取り出す
60
Fe2++2e−
2+
Cu は Cu になった
Cu2+ +2e−
(CO を)
Zn2++Cu
例:Cl2+2KI
100
Fe
還元(された)
還元剤
還元した
表 酸化還元反応と電子
Cu2+ + SO42−
(青色)
(無色)
1)
失った
酸化(された)
100
40
Cu2+(CuSO
O 原子を
水素 H
対象物質
80
得た
分類
(Fe2O3 を)
3) 酸化=電子 e−を失う、還元=電子 e−を得る
(鉄板を硫酸銅(II)に入れた時の反応)
100
60
O 原子を
相手の物質
4HF+O2
反応前後の比較
100ml
酸化 or 還元
表 酸化還元反応と水素
酸化還元反応は、特定の原子が電子 e−の受け渡しをする...