ワシントン体制下の日本外交
ワシントン会議で結ばれた海軍軍縮に関する五か国条約、太平洋に関する四か国条約、中国に関する九か国条約は、別々のものではなかった。これらは相互に関連し、第一次世界大戦後にヨーロッパに誕生したヴェルサイユ体制と並んで、新しい国際協調体制(ワシントン体制)を形成することになった。それは帝国主義的「旧外交」に代わる「新外交」時代の到来を約束するかに思われた。
ワシントン体制の下、日本外交を推し進めたのは外相の幣原喜重郎であった。その合理主義的外交は「幣原外交」の名でよばれるが、彼は政治・軍事・経済を有機的関連において把握しようと考えていたのであり、それらを現実の外交に適...