市場のニーズをいち早くとらえ、求められる商品をいち早く市場に送り込む。ビジネスで利益を上げるためにはごく当り前の戦略である。製品開発能力を高め、商品を市場に送り出すためのリードタイムをいかに短くするかは、経営戦略上、極めて重要な地位を占める。製品開発プロセスは産業ごとに異なるが、例えば自動車や機械等では、基本設計、試作、詳細設計、金型設計等の開発段階に分かれている。欧米企業では、上工程から下工程へ、1つの段階の作業が終了してから次の段階へ進む開発過程が一般的である。これに対して、日本企業では、開発の初期段階から、金型等の下流工程企業が参加しながら、各工程を同時並行的に進めるコンカレント・エンジニアリング方式をとっている。こうした方式は、日本企業の成長力の源泉として1980年代以降世界の注目を集めてきた。例えば、自動車の製品開発リードタイムは1990年代半ばに大幅に短縮されたが、現在、欧米メーカーが30か月台にとどまっているのに対して、日本メーカーは20か月弱の水準となっているとの調査もある。日本メーカーが優位に立っている背景には、コンカレント・エンジニアリング方式がある。さらに、日本の自動車メーカーが、1990年代半ばに製品開発リードタイムを従来の約30か月から20か月弱へと一気に短縮させた要因として、フロント・ローディングと呼ばれる手法が注目を集めている。これは、開発後期における問題解決は、初期に比べてより多くの時間とコストを要することから、初期段階においてコンピュータ・シミュレーションを集中的に行う手法である。これらの手法は、いずれも問題を可能な限り初期段階で抽出して解決を行うという基本戦略に基づいており、そのためにITの活用が図られている。
レポート②:管理のためのシステム(3次元CADシステム)
市場のニーズをいち早くとらえ、求められる商品をいち早く市場に送り込む。ビジネスで利益を上げるためにはごく当り前の戦略である。製品開発能力を高め、商品を市場に送り出すためのリードタイムをいかに短くするかは、経営戦略上、極めて重要な地位を占める。製品開発プロセスは産業ごとに異なるが、例えば自動車や機械等では、基本設計、試作、詳細設計、金型設計等の開発段階に分かれている。欧米企業では、上工程から下工程へ、1つの段階の作業が終了してから次の段階へ進む開発過程が一般的である。これに対して、日本企業では、開発の初期段階から、金型等の下流工程企業が参加しながら、各工程を同時並行的に進めるコンカレント・エンジニアリング方式をとっている。こうした方式は、日本企業の成長力の源泉として1980年代以降世界の注目を集めてきた。 例えば、自動車の製品開発リードタイムは1990年代半ばに大幅に短縮されたが、現在、欧米メーカーが30か月台にとどまっているのに対して、日本メーカーは20か月弱の水準となっているとの調査もある。日本メーカーが優位に立っている背景...