平安文学の中の源氏物語の意味

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    『竹取物語』は九世紀末から十世紀初頭にかけて成立した作者未詳の作り物語である。

    中古における物語作品は散逸しているものが多いが、現存最古の作り物語であり、物語作品の祖ともいえる。『源氏物語』中においても「物語の出で来初めの祖」と称されていることから、平安中期にあって既に『竹取物語』の古典性が認識されていたことがうかがえる。

    物語中、主人公のかぐや姫の「小さ子譚」「難題求婚譚」が大きな特徴である。「小さ子譚」は後の一寸法師の原型として、また「難題求婚譚」は『古事記』の大国主神がスセリ姫を手に入れる話の発展と見ることができる。

    さらに「かくや姫が罪により地上の人となる構想は仏教の転生思想によるものであろうこともすでに見たがようであるにしても、尊(スサノヲ)も罪で地上に下されたのであるし、(中略)『竹取物語』の構成のヒントの何分の一かはスサノヲの尊の神話から受けたと思われる」※1との上坂信男氏の指摘もその一端と考えるに異論はないと思われる。これらから『竹取物語』の文学史的意義を考えるならば、一つに、『竹取物語』以前の記紀神話、あるいは民間譚・伝承の類の集大成としての作品、二つに、『宇津...

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