中国の葬儀
中国の葬儀の一種に鳥葬というものがある。葬儀後に死体を郊外の荒地に運び、死体を裁断し断片化して禿鷲などの鳥類に食べさせるというものである。宗教上は、魂の抜け出た遺体を“天へと送り届ける”ための方法として行われており、鳥に食べさせるのはその手段に過ぎない。また、多くの生命を奪うことによって生きてきた人間が、せめて死後の魂が抜け出た肉体を、他の生命のために布施しようという思想もあるといわれている。実は、以前の中国では水葬、土葬、火葬、風葬など様々な葬儀の形式が認められていたようである。中国の葬儀の歴史は日本より長く興味深いものであるようだ。ここでは中国の葬儀の起源や葬儀の様式の変化、そして現在も行われている風習などについて見ていきたい。
そもそも、葬儀の様式にはそれを行う人たちの 死生観 、宗教観が深く関っており、 宗教 の違いがそのまま葬式の様式の違いになる。また葬儀は故人のためだけでなく、残されたもののために行われるという意味合いも強くある。残された人々が人の死をいかに心の中で受け止め、位置付け、そして処理するか、これを行うためにかかせない儀式が葬儀である。その意味で葬儀は、宗教が 文明 に発生する以前の旧石器時代から行われてきていた宗教的行為であるといえる。
異なる葬儀方法、様式、当然ながら異なる過程を経て出来上がった葬儀儀礼はまったく違う格式や内容を持っている。はるか昔の時代、葬儀方法の形成や選択はしばしば人々の生活環境と密接な関係を持っていた。中国は多民族国家であり、各民族はそれぞれ生活する環境が異なるので、携わる生産活動も異なる。要因は様々であるが、心理面における要因が中心となって、おのおのの葬儀方式を形成した。加えて各民族社会の歴史の発展の不均衡性や宗教信仰の違いが、葬儀の様式に現れ、様々なものが生み出された。また、世界の主要な葬儀の様式は中国でほとんど、発見されたと言える。
さて、ではまず現在の葬儀儀礼について少し見ていきたい。今日の中国では一部の地方や農村を除いて、すべて火葬になり、その上生活様式の移り変わりにつれて葬儀も大分変わってきている。中国では一般的な葬儀の様式として、臨終のときの習慣や、死者に黄色い神を燃やす習慣がある。まずは臨終のしきたりについて見ていく。
中国の風習では、息を引き取る前に新しい着物を着せてオンドルやベッドなどの寝床から特設の簡易ベッドに移さなければならない。親族や子女が見守っているのなら、絶対に寝床で死なせるようなことはしない。それは、寝床で死んだ人は身寄りのない人か、そばに誰もいなくて面倒を見てもらえなかったということを意味するからである。特に年をとっている人は、生前から子女の手によって、死んだときに着る特別に刺繍をした一式の着物“寿衣”、蓮の花を刺繍した枕“寿枕”、くつ“寿靴”などを用意し、その日が来るまでしまっておく。一般には人が死ぬ前、様態が急変するとすぐに新しい服を着せ、臨時に組み立てておいた板ベッドに移す。しかし容態が回復した場合は、またもとの寝床へ移し、着せた服を脱がす。最後の息を引き取ると、体を綺麗に拭き、髪の毛を整え、つめを切り、男ならひげもそる。そして用意しておいた“寿衣”を着せ、“寿靴”をはかせ、“寿枕”や“脚枕”をあてる。口に真珠・銀、玉などを入れ、顔や体に白布をかぶせる。そして更に、両足を麻ひもでしばり、白布の上に鉄器をのせる。また飼っている猫が近づかないようにし、涙が死人にかからないように注意する。それは、猫が死人に近づいたり、涙がかかると死体が突然むっくり起き
中国の葬儀
中国の葬儀の一種に鳥葬というものがある。葬儀後に死体を郊外の荒地に運び、死体を裁断し断片化して禿鷲などの鳥類に食べさせるというものである。宗教上は、魂の抜け出た遺体を“天へと送り届ける”ための方法として行われており、鳥に食べさせるのはその手段に過ぎない。また、多くの生命を奪うことによって生きてきた人間が、せめて死後の魂が抜け出た肉体を、他の生命のために布施しようという思想もあるといわれている。実は、以前の中国では水葬、土葬、火葬、風葬など様々な葬儀の形式が認められていたようである。中国の葬儀の歴史は日本より長く興味深いものであるようだ。ここでは中国の葬儀の起源や葬儀の様式の変化、そして現在も行われている風習などについて見ていきたい。
そもそも、葬儀の様式にはそれを行う人たちの 死生観 、宗教観が深く関っており、 宗教 の違いがそのまま葬式の様式の違いになる。また葬儀は故人のためだけでなく、残されたもののために行われるという意味合いも強くある。残された人々が人の死をいかに心の中で受け止め、位置付け、そして処理するか、これを行うためにかかせない儀式が葬儀である。その意味で葬儀は...