発情診断
牛の発情兆候
発情期になると牝牛は、目つきが鋭く、音に敏感になり、動きまわることが多くなる。さらに食欲は減退し、反芻が少なくなり、軟便となることが多い。また独特の高い泣き声で咆哮し、雄牛を求めて探し回るような行動を示す。同居するほかの雌牛に乗駕(マウンティング)することがあるが、それ以上に、他の牛が乗駕しようとしたときには、静止してそれを許容する(スタンディング発情)。外陰部は充血して主張し、多量の粘液を漏出する。発情牛の乗駕または乗駕許容行動は午後よりも午前中に活発で、発情開始時刻は夜半から早朝までが多いと言われている。
牛の発情持続時間は大部分が10~20数時間の範囲に入るが、わずかに数時間と言う例も見られる。経産牛は未経産牛に比べて発情持続時間がやや長く、また、舎飼牛と放牧牛、栄養条件あるいは季節によってもわずかに差があるとも言われるが明確ではない。排卵は発情開始後30時間前後で起こるが、その変動幅は大きい。また発情終了から排卵までの時間はおよそ10~15時間前後とされている。
発情を診断するためには1性行動の観察、2雄または去勢雄の利用、3直腸検査、4膣検査、5超音波検査、6頚管粘液検査、7頚管粘液の精子受容性、8頚管粘液のpHおよび電気伝導度、9プロジェステロンの測定がある
1性行動の観察2雄または去勢雄の利用
方法
①雌牛を放牧場に放ち、各雌牛の行動を観察する。また、フリーストール内の行動を観察してもよい。または、雄・去勢雄を利用する。その場合、雌にヒートマウントディテクターを、またはチンボールを装着して牧場に放つ。
②移動、他牛との接触、臭い嗅ぐ、排尿、乗駕、スタンディング姿勢などの行動を時間に沿って記録する。顕著な性行動についてはカメラやビデオで記録撮影する。
解説
発情している牛は、落ち着きがなく活動的である。すなわち、飼料を食べる時間の減少、休憩時間の減少、反芻時間の減少、泌乳量の減少などがみられる。牛が発情周期に近づくにしたがって、発情している他の雌牛を探すようになり、陰門部を舐めたり、臭いを嗅いだりするようになる。また、放牧中には発情牛し牛群からはなれてさまよい歩き、咆哮するのが特徴である。なかでも最も顕著な発情牛の行動は、雄牛や他の発情した雌牛の乗駕を許容する姿勢をとることである。すなわち、スタンディング発情を示す雌牛が発情期にあるといえる。
発情診断は、雄牛を用いることでより確かなものとなる。発情発見に用いられる雄牛は、精管結紮を施したものか、外科的に陰茎の突出方向を側方にそらしたり、機械的に陰茎を包皮内に閉じ込めるなどの処置が施されている。この場合、これらの雄牛が乗駕した時に雌牛がスタンディング姿勢をとるか否かを観察するだけでなく、ヒートマウントディテクターやチンボールなどを装着することにより、いっそう発情の発見が容易になる。
3直腸検査
直腸検査により卵巣および子宮角の所見をとる。すなわち、発情期には卵巣の表面に成熟した卵胞が突出し、弾力性に富む波動感を触知することができる。このときの卵胞の直径は12~24mmにたっしている。一方、子宮角については、触れた後に子宮が縮むようなし収縮感を触知することができる。
4膣検査
発情に伴う子宮膣部、膣腔に溜まった粘液、外子宮口から流出する子宮粘膜などの所見を観察する。発情期には外子宮口は開口し、膣壁は充血し、膣腔内には多量の頚管粘液が貯留しいている。
5超音波検査
超音波検査は直腸検査の補助手段として用いる。すなわち、直腸検査で触知した卵胞の存在とその大きさを確かめ
発情診断
牛の発情兆候
発情期になると牝牛は、目つきが鋭く、音に敏感になり、動きまわることが多くなる。さらに食欲は減退し、反芻が少なくなり、軟便となることが多い。また独特の高い泣き声で咆哮し、雄牛を求めて探し回るような行動を示す。同居するほかの雌牛に乗駕(マウンティング)することがあるが、それ以上に、他の牛が乗駕しようとしたときには、静止してそれを許容する(スタンディング発情)。外陰部は充血して主張し、多量の粘液を漏出する。発情牛の乗駕または乗駕許容行動は午後よりも午前中に活発で、発情開始時刻は夜半から早朝までが多いと言われている。
牛の発情持続時間は大部分が10~20数時間の範囲に入るが、わずかに数時間と言う例も見られる。経産牛は未経産牛に比べて発情持続時間がやや長く、また、舎飼牛と放牧牛、栄養条件あるいは季節によってもわずかに差があるとも言われるが明確ではない。排卵は発情開始後30時間前後で起こるが、その変動幅は大きい。また発情終了から排卵までの時間はおよそ10~15時間前後とされている。
発情を診断するためには1性行動の観察、2雄または去勢雄の利用、3直腸検査、4膣検査、5超音波...