オーディオ・リンガル・アプローチ(以降AL法とする)は構造言語学と行動主義心理学を取り入れた教授法である。
ここでの構造言語学はアメリカの構造言語学を指し、話し言葉を研究の対象とし、言語を構造的に捉えようとする学問のことである。ある言語の母国語話者の実際の発話をサンプルとして集め、音韻論・形態論・統語論の分野に分けて分類・整理し、その言語の全体的な体系を作るのである。この研究を通して立てられた仮説に基づき、以下のとおりAL法に応用された。
仮説1「言語は構造体である」
→外国語を教えるには、まずその構造を教えるべきだという方針が出され、構造(文型の学習)中心の教材が開発された。
仮説2「言語は科学的に分析・記述できる」
→科学的に分析できる音韻・文構造の分析や研究を重視した。ただし分析が難しい「意味」は軽視された。
仮説3「言語は音声である」
→初級段階の学習からヒアリングとスピーキングを優先した。教材導入・文型練習とも口頭活動が重視され、文字の教育は後に回された。
仮説4「言語には型がある」
→文の構造(文型)教育が大切とし、パターン・プラクティスやそれに関する教材が開発された。...