「日本の国際協力(国際貢献)のあり方について」
国際協力とは、様々な国の政府、企業、団体、個人が共通の目的「繁栄と平和」に関する合意形成や目的実現のために、国境を越えた利害関係を調整しながら協力するプロセスである。簡単に言うと、「地球上に住む人類が喧嘩をせず、仲良く協力して繁栄していく」という課題に対して、いろいろなことを展開する地球規模の壮大なプログラムである。
国際協力の形態は、①国家主体の伝統的な「二国間協力」「多国間協力」「国際機関協力」を行なう政府開発援助(ODA)、②非国家主体の「NGO」「NPO」「個人」「民間団体」など、大きく2つに分けることができる。ここからは、日本の国際協力のあり方についてODAとNGOに焦点を置き考察していく。
治安が比較的良好な日本に住む日本人が、海外で安全をあまり気にせずに旅行や生活ができるのは、日本政府が平和国家として生きていくために必要な経費を支払っているからである。この経費の一部がODAであり、国益へとつながっている。日本のODAの目的は、第一義に総合安全保障である。海で囲まれ、天然資源に乏しい日本は、アジアや中近東地域から安全・安定・確実に天然資源を輸入し、それらを世界最高水準の技術力によって品質の高い工業製品を作り輸出している。このように大切なパートナーである開発途上国に対して日本が援助を行うことは、開発途上国の安定や発展によって、日本の安全や繁栄を支えるために欠かせない。日本が、経済大国、貿易大国、技術大国、平和国家として、持続的に発展を続けるための理想的な国際環境は、「世界平和が維持され、国際協力をもとに世界経済がバランスよく発展していく」ことである。
半世紀にわたり、開発途上国の発展に貢献してきた日本のODAは、1954年にコロンボ・プランへ加盟して以来、185ヶ国に対して総額2,210億ドルにのぼるODAを供与した。開発途上国の経済・社会インフラ整備、人材の支援など、開発途上国の開発や福祉の向上に大きく貢献している。特に、東アジアの運輸・電力・通信など経済発展に対しての成果は大きい。東アジアは経済成長の結果、貧困者を大幅に減少させ、インフラ整備を重点的に行なうことで投資環境を改善した。教育・保健・衛生分野への支援が相乗効果を持ち、海外直接投資の流入や輸出産業への振興に結びつき、経済発展につながった。
日本のODAは、1991年から2000年まで、10年間連続して世界で第1位を占めていたが、アメリカが2001年から第1位となっている。日本のODA の実績は、2003年では約88億7,966万ドルであり、DAC諸国中ではアメリカに次いで3年連続第2位である。二国間ODAは全体ODAの約7割を占め、国際機関を通じたODAが約3割を占めていることから、二国間ODAが中心となっている。
それぞれの国の歴史や文化と同様、開発援助・国際協力という概念や目的が異なるのは当然であるが、国益を重視したODAは日本だけに限ったことではなく、先進主要国もODAを国益と定めて実施している。日本のODAは、その規模や功績が日本上位であるにも関わらず、それに見合った国際的影響力を得るに至っていないというジレンマを持っている。その理由の一つは、日本の援助は、他の国々と比べて経済インフラへの援助割合が圧倒的に大きいことである。
経済成長は国の発展に重要で、経済を上昇させるには資本や労働等の生産要素の増加、生産性の向上、技術水準の向上が必要である。開発途上国では、一般的に労働力は過剰であることから、投資をして資本ストックを
「日本の国際協力(国際貢献)のあり方について」
国際協力とは、様々な国の政府、企業、団体、個人が共通の目的「繁栄と平和」に関する合意形成や目的実現のために、国境を越えた利害関係を調整しながら協力するプロセスである。簡単に言うと、「地球上に住む人類が喧嘩をせず、仲良く協力して繁栄していく」という課題に対して、いろいろなことを展開する地球規模の壮大なプログラムである。
国際協力の形態は、①国家主体の伝統的な「二国間協力」「多国間協力」「国際機関協力」を行なう政府開発援助(ODA)、②非国家主体の「NGO」「NPO」「個人」「民間団体」など、大きく2つに分けることができる。ここからは、日本の国際協力のあり方についてODAとNGOに焦点を置き考察していく。
治安が比較的良好な日本に住む日本人が、海外で安全をあまり気にせずに旅行や生活ができるのは、日本政府が平和国家として生きていくために必要な経費を支払っているからである。この経費の一部がODAであり、国益へとつながっている。日本のODAの目的は、第一義に総合安全保障である。海で囲まれ、天然資源に乏しい日本は、アジアや中近東地域から安全・安定・確...