三角フラスコ(1)では、岩石中のAl とFeは濃硫酸を加え、加熱すると硫酸塩になる。Tiは酸化硫酸チタン(?)(硫酸チタニル)TiOSO4となる。
化学式 Ti + H2SO4 + O2 → TiOSO4 + H2O
三角フラスコ(2)で、ろ過直後のろ液はレモン色だが、過酸化水素水を加えると濃い黄色に変化する。これはペルオキソチタン酸ができるためである。また、加熱すると濃い黄色から黄緑色に変化するのは、ペルオキソチタン酸が加熱により分解されるためである。これにより、岩石中のチタンが確認できた。
さらに煮沸し、水酸化ナトリウムを加えると茶褐色の沈殿が生じた。これは主にFe〈OH〉3であるが、TiもTi(OH)4として沈殿する。Feが少なくTiが多い試料では沈殿は色が薄く、ゼリー状となる。
化学式 Fe + 3OH → Fe(OH)3
Ti + 4OH → Ti(OH)4
これにより岩石中のFeが確認できた。
三角フラスコ(3)では、ろ液はフェノールフタレインで赤色になる。ろ液はアルカリ性である。これに塩化アンモニウムと塩酸を加えるとゼリー状の白色沈殿がおきた。これは、ろ液中にイオンとして含まれていたAlがAl(OH)3となって沈殿したためと考えられる。
化学式 Al + 3OH → Al(OH)3
これにより、Alに存在も確認できた。
目的および原理
岩石中に含まれるチタンについて、性質ともにしっかり覚える。
Ti チタン
第4周期第4族に属する遷移金属元素。チタンは軽い、強い、錆びない、溶けない、生体親和性にすぐれるなどの特徴を持ち、航空宇宙産業、電力・エネルギー産業、化学工業、海洋開発、スポーツ製品などの幅広い分野で利用されている。また、耐食性に優れていることから、食塩電解のアノードにも使われている。最近では、光触媒としての用途も注目を集めている。
光触媒の原理
酸化チタン(TiO2)の重要な応用に光触媒がある。TiO2に紫外線が当たると、その表面から電子が飛び出し、正孔(電子が抜け出た穴)ができる。正孔は強い酸化力(電子を奪う力)を持つので、水中にある水酸イオン(OH )などから電子を奪い取る。このとき、電子を奪われたOH は不安定な状態から「OHラジカル」となる。OHラジカルは強力な酸化力をもち、近くの有機物から電子を奪って自らが安定になろうとする。電子を奪われた有機物は、結合が分解されて最終的に二酸化炭素や水となって空気中に発散していく。光触媒には大気浄化、脱臭、浄水、抗菌などの働きがある。
実験操作
試料...