「ジョイ ラック クラブ」を観て
この話は、中国でのつらい経験を抱えながら幸せな生活を夢見て、移民としてアメリカへ渡ってきた4人の母親とアメリカで生まれ育ったその娘たちの物語である。中国とアメリカという育った環境の全くちがう母と娘たち。母親たちはただ自分の娘の幸せを願っているだけなのだが、その強い思いは娘たちにはうまく伝わらない。そこには文化や考え方の違いから大きな溝が生じていた。
スーユアンの娘のジューンは幼いころから母の期待を重苦しく感じていた。母は『自分の娘には何にでもなれる才能がある』と信じ、娘を天才少女ピアニストだと思っていた。しかし、ジューンは自分の才能など信じておらず『天才ではなく、私は私』と考えていた。親の過剰な期待がジューンにとってはプレッシャーだったのである。スーユアンはその昔、戦乱の中で病気を患い、自らの死を覚悟して双子の赤ん坊を路上に置き去りにしてきたという辛い過去を持っていた。自らのせいで双子を失ったスーユアンにとって、ジューンは立派に育てなければならないという思いがあったのだと思う。
リンドの娘のウェヴァリーは自分が何をしても気に入ってくれない母親に対し、い...