分裂期に染色体を分離する紡錘体の動的な変化は、微小管のどのような性質によってもたらされるのか。また、その制御機構はどのようなものか?
有糸分裂紡錘体の動的な変化は、MAP・カタストロフィン・モータータンパクといったタンパク質の相反する活性の均衡による微小管の伸張、短縮、移動により生じる。
MAPは微小管の繊維伸長の頻度を増加させたり、伸長速度を増加、短縮速度を減少させたりする微小管を安定化させる働きを持つ。逆に、カタストロフィンは微小管の繊維短縮の頻度を高めて微小管列を不安定化させる働きを持つ。
そして、M-CdkがMAPをリン酸化して、微小管を安定させる能力を低下させることで微小管の長さを制御している。
微小管依存モータータンパクは、ATPを加水分解して2本の微小管を架橋して相互に動かす働きを示す。動物細胞では、ダイニンに属するマイナス端向きモータータンパクは、微小管の一端を束ねて、中心体付近に焦点を作る。キネシン関連タンパクに属するプラス端向きモータータンパクは、逆平衡の微小管を滑らせ、中心体を押し離して有糸分裂紡錘体の2つの極の形成が始まる。プラス端向きモータータンパクの比...