動産執行、不動産執行、債権執行の特徴を説明しなさい。
民事執行は三種類の手続をもち、その中心となる強制執行の中の金銭執行には、差押え・
換価・満足という共通の基本的パターンがある。
民事執行の意義
民事執行とは、強制執行、担保権の実行としての競売および民法等の規定による換価のた
めの競売(形式的競売)並びに債務者の財産の開示の総称である(法1条)。
強制執行は、請求権の強制的満足のために、確定判決、執行証書その他の債務名義に基づ
いてなされるものである。 そして、その請求権が金銭の支払を目的とするか否かによって、
金銭執行と非金銭執行に大別される。
このうち圧倒的な比重を持つのは金銭執行であるが、これは執行対象の区別に応じ、不動
産に対する強制競売および強制管理、船舶その他の準不動産に対する強制競売、動産に対
する強制執行、債権その他の財産権に対する強制執行、に分かれる。そして、その手続上
共通の流れとして、「財産の差押え」、「差し押さえた財産の換価」、「換価によって得た金銭
による債権の満足」という経過をたどる。
3 担保権の実行としての競売 担保権の実行としての競売は、物的責任の実現により満足
を受けるため、優先弁済権をもつ債権者が始動させる強制換価の手続たる担保執行である。
強制執行の諸規定を大幅に準用するが、担保権の実行に債務名義を要求しない点で、債務
名義による強制執行との間に、わずかであるが重要な差異がある。 なお、不動産担保権の
実行の方法には、不動産競売のほかに、担保不動産収益執行があり、これについては、強
制管理の規定が準用される。 ☆ 担保不動産収益執行の制度は平成 16 年4月1日より新設
された。
4 形式的競売 形式的競売は、民法・商法その他の法律により、換価のためだけに認めら
れている競売をいう。形式的競売については、担保権の実行としての競売の例による、と
されている。
5 財産開示手続 強制執行の申立書には、その目的とする財産を表示しなければならない
(規則 21 条3号)。したがって、債権者が債務者の有する財産について十分な情報をもたな
い場合には、たとえ勝訴判決を得たとしても、強制執行を行うことはできない。そこで、
平成 15 年改正により、債務者の有する財産を把握するため、財産開示手続の制度が設けら
れた。 財産開示手続は、原則として、執行力のある債務名義を有する金銭債権の債権者ま
たは債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者が、
知れている財産に対する強制執行等によっては当該債権の完全な弁済を得ることができな
い場合に、申し立てることができる(法 197 条)。 財産開示手続の実行が決定されると、開
示義務者(債務者またはその法定代理人、債務者が法人の場合にはその代表者)は、財産開示
期日として指定された日に出頭して、債務者の財産について陳述しなければならない。こ
れは非公開で行われ、その記録の閲覧等は、申立人、財産開示手続を申し立てることので
きる他の債権者および債務者または開示義務者に限ってすることができる(法 199 条,201
条)。
第2節 執行機関 1 民事執行の機関 民事執行をなす権限は、国家の独占の下にあり、そ
の行使を管掌するのが執行機関である。具体的には、執行手続に関する国家の行為を担当
する官庁(執行裁判所)もしくは公務員(執行官)である(法2条)。 執行裁判所とは、民事執行
につき裁判所に委ねられた権限、すなわち執行処分の実施その他の
動産執行、不動産執行、債権執行の特徴を説明しなさい。
民事執行は三種類の手続をもち、その中心となる強制執行の中の金銭執行には、差押え・
換価・満足という共通の基本的パターンがある。
民事執行の意義
民事執行とは、強制執行、担保権の実行としての競売および民法等の規定による換価のた
めの競売(形式的競売)並びに債務者の財産の開示の総称である(法1条)。
強制執行は、請求権の強制的満足のために、確定判決、執行証書その他の債務名義に基づ
いてなされるものである。 そして、その請求権が金銭の支払を目的とするか否かによって、
金銭執行と非金銭執行に大別される。
このうち圧倒的な比重を持つのは金銭執行であるが、これは執行対象の区別に応じ、不動
産に対する強制競売および強制管理、船舶その他の準不動産に対する強制競売、動産に対
する強制執行、債権その他の財産権に対する強制執行、に分かれる。そして、その手続上
共通の流れとして、「財産の差押え」、「差し押さえた財産の換価」、「換価によって得た金銭
による債権の満足」という経過をたどる。
3 担保権の実行としての競売 担保権の実行としての競売は、物的責任の実...