国際社会学 試験模範解答(ナチスにおけるエスニシティ理論とは/世界システム視角の三層構造)
問1
問題文の事実に示されたナチ指導層の民族観・他民族支配政策は、主として2つのエスニシティ理論に関連する。まずは、その理論に伍していくかたちで分析する。
一つは、文化的・認知構造論的アプローチである。アドルフ・ヒトラーの「われわれがユダヤ人種という場合、それはただ単に言葉の上での便宜主義
国際社会学 試験模範解答(ナチスにおけるエスニシティ理論とは/世界システム視角の三層構造)
問1
問題文の事実に示されたナチ指導層の民族観・他民族支配政策は、主として2つのエスニシティ理論に関連する。まずは、その理論に伍していくかたちで分析する。
一つは、文化的・認知構造論的アプローチである。アドルフ・ヒトラーの「われわれがユダヤ人種という場合、それはただ単に言葉の上での便宜主義からである」という(1)の事実は、カテゴリー化を意味し、それは外圧的な支配権力によってなされている。それはここでは、カテゴライズしているのがナチ指導層、カテゴライズされているのがユダヤ人種ということになる。カテゴリー化とは、「権力をもつものが、実際には多様で異質性を内部に持つ人間の集合体を、その多様性を捨象して、外在的に均質の実態として規定すること」だが、そこには、ある決まりきった判断パターンに組み込んで理解しようとする認識作用、つまりステレオタイプを見出すことができる。ナチは、かねてから世界恐慌の影響によって不安におびえていた中産階級を中心として、巧みな大衆宣伝・プロパガンダによって人々を動かしたが、その点に...