ルノワールによる肌を美しく見せる秘訣

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    資料紹介

    ルノワールの≪水のなかの裸婦≫における肌の表現
    ルノワールが活躍した19世紀から20世紀にかけてのフランス社会は、パリを拠点として近代的な市民社会が確立する時代だった。そしてまた、社会主義が台頭する時代でもあった。そのようななかで、ルノワールは人間に魅せられて、友人や恋人を描いた。余暇の楽しみは我々の生活に欠かせないものでもある。充足に満ちた時間を我々はどれほど焦がれるか。ルノワールの描く、こういったパリの中流階級、都会的な楽しい絵に私は魅力を感じた。
     ルノワールは人物表現の研究をし、色彩を変化させ、光を浴びたモデルの肌にうすいバラ色から紫色を帯びたバラ色まで、さまざまな色合いの影をちりばめた。そのような人物画の肌の美しさについて、ポーラ化粧品の研究によると、赤と青の重ね塗りに秘けつがあることが分かった。絵の肌の部分を顕微鏡で観察すると、白と朱色を混ぜた下塗りの後、透明感の高い赤と青をうすく重ねている。このため発色効果が高められる。現代のメイクでも、透明感の高い美しい肌に見せるためファンデーションの上から、赤や青のパウダーを重ねるテクニックがよく使われている。
    ■ルノワールとは…
    ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)
    1841年2月25日~1919年12月3日
    フランスの印象派の画家。
    フランス中南部のリモージュで仕立屋の六男とし生まれる。決して裕福ではない家庭である。3歳の時に、一家でパリに移り住む。13歳から陶器の絵付職人となり絵の経験を積む。しかし産業革命、機械化の影響は伝統的な陶器絵付けの世界にも影響し、絵付けが印刷に取って代わった。大量生産のためである。職人としての仕事を失ったルノアールは、扇や日除けの絵を描いた。1860年、模倣画家として認められルーヴル美術館でルーベンス、ブーシェ、フラゴナールなど宮廷絵画(主に18世紀ロココ様式)の研究と模写をおこなう。
    1861年にシャルル・グレールの画塾に登録、1862年にはエコール・デ・ボザール(官立美術学校)に入学。グレールの画塾ではクロード・モネ、アルフレッド・シスレー、フレデリック・バジールらと知り合い、共にフォンテーヌブローの森で作品を制作するほか、数年後に崇拝していた写実主義の巨匠ギュスターヴ・クールベとも出会う。
    印象派展には1874年の第1回展から出品している。 他の印象派の画家たちと同様、風景画も制作したが特に人物を好んで描き、裸婦像、少女像などを得意とした。他の印象派の画家と違って、ルノワールの絵は好評であった。1870年代から1880年代初頭にかけての作品は典型的な印象主義の作風によるもので≪ムーラン・ド・ラ・ギャレット≫(1876年)、≪舟遊びの人々の昼食≫(1880年~1881年)などがこの時期の代表作である。
    しかしルノワールは、光の効果におぼれ形態を見失った印象派の技法に疑問を持ち始める。イタリア旅行でラファエッロらの古典に触れてからはこの懐疑はさらに深まった。そして古典主義を探求し作風を変化させる。この時期の作品には新古典派のアングルの影響が顕著で、明快な形態、硬い輪郭線、冷たい色調が目立つ。
    1880年代の後半からは、リュウマチ性関節炎や顔面神経痛に襲われる。この病によって古典主義的な表現から、輪郭線と色、両方を生かす真珠色の時代の様式へと再変する。1890年代に入ると、ルノワール本来の暖かい色調が戻り、豊満なヌードを数多く描いた。
    ■裸婦ならばその胸や腰を愛撫したくなるような…
    ルノワールは「私の好きな絵画は、風景

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    ルノワールの≪水のなかの裸婦≫における肌の表現
    ルノワールが活躍した19世紀から20世紀にかけてのフランス社会は、パリを拠点として近代的な市民社会が確立する時代だった。そしてまた、社会主義が台頭する時代でもあった。そのようななかで、ルノワールは人間に魅せられて、友人や恋人を描いた。余暇の楽しみは我々の生活に欠かせないものでもある。充足に満ちた時間を我々はどれほど焦がれるか。ルノワールの描く、こういったパリの中流階級、都会的な楽しい絵に私は魅力を感じた。
     ルノワールは人物表現の研究をし、色彩を変化させ、光を浴びたモデルの肌にうすいバラ色から紫色を帯びたバラ色まで、さまざまな色合いの影をちりばめた。そのような人物画の肌の美しさについて、ポーラ化粧品の研究によると、赤と青の重ね塗りに秘けつがあることが分かった。絵の肌の部分を顕微鏡で観察すると、白と朱色を混ぜた下塗りの後、透明感の高い赤と青をうすく重ねている。このため発色効果が高められる。現代のメイクでも、透明感の高い美しい肌に見せるためファンデーションの上から、赤や青のパウダーを重ねるテクニックがよく使われている。
    ■ルノワールとは…
    ピ...

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