日本の高齢者の保健・医療は、老人保健制度によって支えられ、同制度は、老後の健康保持と適切な医療の確保を図り、医療に要する費用を国民全体で公平に負担する制度として、1983年2月より施行されている老人保健法に基づくものである。同法制定前は、医療保険制度と老人福祉制度の両制度によって支えられてきた。1961年の国民健康保険の全国実施により国民皆保険が成立し、低い自己負担で医療機関を受診できるようになった。1973年からは老人福祉法が改正され、老人医療費支給制度の創設により老人医療費の自己負担無料化が実現した。しかし、過剰受診等を引き起こし、医療費の急増をもたらす結果となった。また1960年代半ばか...