憲法31条は、「法律の定める手続きによらなければ、生命・自由を奪われたり、刑罰を科せられない」と規定しています。これは、逆に言えば、人身の自由を制限して、刑罰を科すためには、法律に定められた手続き従わなければならないということを意味します。これが、法定手続きの保障です。この規定があるために、日本では、刑事手続(逮捕や取調べ、裁判のやり方など)は刑事訴訟法という法律に定められています。
また、手続きだけ定められていても、どのような行為が犯罪にあたり、その犯罪にたいしてどのような刑罰が科されるのかが予め決められていなければ、人身の自由を十分に保障することはできませんから、31条は「罪刑法定主義」を宣言しているとも言われます。罪刑法定主義とは、どのような行為が犯罪とされ、またその犯罪とされた行為にはどのような刑罰が科されるかは、予め法律に規定されていなければならないという原則を言います。この規定があるために、日本では犯罪とされる行為は刑法という法律に定められています。例えば、刑法199条は、「人を殺した者は、死刑または無期もしくは3年以上の懲役に処する」と規定し、人を殺すという行為が犯罪にあたり、その行為に対しては死刑か3年〜無期の懲役という刑罰が科されるということを明確に規定しています。
高等学校教育実習・研究授業
年 月 日・ 限:
「自由権」・人身の自由
*人身の自由 教科書32ページ、資料集133ページを開いてください。
前回から、自由権の中でも身体(体)の自由について説明してきました。身体の自由がないということは、奴隷状態を意味するということですから、本当に人間らしくあるためには人身の自由が欠かせないものなのです。そのために、日本国憲法は18条で奴隷的拘束の禁止、36条では拷問・残虐な刑罰の禁止を定め、人身の自由を保障しています。また、31条では、戦前・戦中の警察権力等による不当な人身の自由の侵害の経験から、法定手続きの保障を定めています。
今日はこの、法定手続きの保障についてみていくことにします。
資料集15ページを開いてください。
*Co 31 法定手続の保障
罪刑法定主義
31条を生徒に読ませる。
憲法31条は、「法律の定める手続きによらなければ、生命・自由を奪われたり、刑罰を科せられない」と規定しています。これは、逆に言えば、人身の自由を制限して、刑罰を科すためには、法律に定められた手続き従わなければならないということを意味します。...