刑法総論 「新旧過失論」

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    刑法総論
    新旧過失論
    過失とは、不注意による犯罪事実の不認識をいう。これには違法性があり、責任がある
    として犯罪が成立するととなる。刑法 38 条 1 項により、過失犯は「法律に定めのある場合」
    に限り処罰される。過失犯の内容には、注意義務違反であるとされるが、その内容につい
    ては新旧2つの理論がある。
    旧過失論とは、第二次世界大戦後、結果無価値論の立場から主張された過失概念で、過
    失は行為者の内部的側面(責任)に属すると携える。従って、故意犯と過失犯は構成要件
    や違法性の段階では区別ができないものと考える(伝統的な旧過失論)。また、旧過失論で
    は、過失行為は実質的に許されない危険行為として把握し、過失を予見可能性として把握
    する。旧過失論では、違法性判断は、客観的に実質的で許されない危険と把握し、責任判
    断の段階で初めて、故意を犯罪事実の認識と把握するのに対応して過失を予見可能性(非
    難可能性)として勘案することとなる。たとえば、殺人罪と過失致死罪を比較すると、両
    罪ともに、保護法益は人の生命であり、客観的に判断した場合には同一結果をもたらし、
    違法性は同一と判断される。しかし...

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