債権総論
2.債権の種類
2-1.特定物債権(=特定債権)
特定物債権・・・特定物の引渡を目的とする債権
┗ →所有権の移転も含まれる。
2-1-1.弁済場所(484条)
特定物債権の弁済場所
・・・債権発生の当時(契約締結時)いその特定物が存在していた場所
→別段の意思表示・目次の意思表示があった場合は例外的
2-1-2.現状での引渡債務(483条)
民法483条 特定物の現状引渡
・・・予め定められた引渡の時期の現状で引き渡せばよい。
→壊れていても、壊れた状態で渡せばよい。
→その物が滅失したら債務は消滅(代わりのものを探さなくても良い)
しかし、債務者に過失があり物が滅失したのなら、債務者は損害賠償の責任を負う。
2-1-3.善管注意義務(400 条)
・特定物債権において、特定物を引き渡す債務を負う債務者は、引渡までの間は善
良なる管理者の注意をもって目的物を保管する義務を負う。
→善管注意義務:普通の人が管理者として払う程度の注意を払う義務
*無償の管理の場合、注意義務は軽減される。
*善管注意義務に反して(=債務者の過失によって)目的物が滅失・毀損した場合
には、債務者は債務不履行として損害賠償責任を負う(415条)。
・過失の種類
抽象的過失:善管注意義務を怠ること
具体的過失:その人の具体的な注意能力や管理能力を基準とした注意を怠ること。
軽過失:注意義務を怠ること
重過失:注意義務を著しく怠ること
<過失の種類>(民法400条・過失の定義)
軽過失 重過失
抽象的過失 抽象的軽過失 抽象的重過失
具体的過失 具体的軽過失
2-1-4.債権発生前の瑕疵と瑕疵担保責任(570条)
特定物債権の目的物に瑕疵があった。
しかし、特定物債権である以上は、別のものを引き渡すことは不可能。
完全なものを引き渡すことは原始的不能―――契約は一部不成立
瑕疵担保責任┳損害賠償責任
┗契約解除
2-2.不特定物債権(=種類債権)
2-2-1.不特定物債権とは何か?
不特定物債権・・・一定の種類に属するもののうち、一定数量の引渡を目的とする債権
=種類債権
債権の目的物を示すのに、種類と数量にだけ着目した債権
cf.制限(限定)種類債権:種類を特殊な範囲で制限した種類債権
*種類債権では履行不能とはなりにくい。
2-2-2.中等の品質
民法401条 当事者間に定めの無い場合には、下等でも上等でもダメ。
2-2-3.特定(集中)
・特定の方法(401条2項)
①当事者が契約で誰か(売主・買主・第三者)に指定権を与えた場合
指定権の行使によって、指定されたものが債権の目的物として確定
②契約で指定権を誰にも与えていない場合
「債務者が物の給付をなすに必要な行為を完了すること」によって確定
特定後、債務者は特定物と同様の保管義務を負う。
cf.送付債務・・・債務者・債権者・その他の地に送付する債務。分離し発送した
ときに確定。
2-2-4.特定の効果
2-2-4-1.所有権の移転・危険の移転
2-2-4-2.変更権
・変更権・・・給付に必要な行為を完了し、一旦確定した後で、別の物の給付に変更
する権利。
┗ 債務者の権利
・判例)特定後も、種類債権である以上、同種の物に変更できる変更権を認める。
(大判昭和12年7月7日民集 16-1120)
・学説)一定制限付で変更権を肯定
変更権を認めない場合:①債権者が反対の意思を示した場合
②
債権総論
2.債権の種類
2-1.特定物債権(=特定債権)
特定物債権・・・特定物の引渡を目的とする債権
┗ →所有権の移転も含まれる。
2-1-1.弁済場所(484条)
特定物債権の弁済場所
・・・債権発生の当時(契約締結時)いその特定物が存在していた場所
→別段の意思表示・目次の意思表示があった場合は例外的
2-1-2.現状での引渡債務(483条)
民法483条 特定物の現状引渡
・・・予め定められた引渡の時期の現状で引き渡せばよい。
→壊れていても、壊れた状態で渡せばよい。
→その物が滅失したら債務は消滅(代わりのものを探さなくても良い)
しかし、債務者に過失があり物が滅失したのなら、債務者は損害賠償の責任を負う。
2-1-3.善管注意義務(400 条)
・特定物債権において、特定物を引き渡す債務を負う債務者は、引渡までの間は善
良なる管理者の注意をもって目的物を保管する義務を負う。
→善管注意義務:普通の人が管理者として払う程度の注意を払う義務
*無償の管理の場合、注意義務は軽減される。
*善管注意義務に反して(=債務者の過失によって)目的...