債権総論
3.債権の消滅
3-1.弁済
弁済・・・債務の内容である給付を実現する債務の行為
*「弁済」と「履行」
履行:債務者のなすべき行為という観点から観た言い方
弁済:履行債務行為によって債務債権が消滅するという観点から観た言い方
・弁済による債権消滅の要件
①給付が債務の本旨に従ってなされること
②給付が債務の弁済のためになされること
┗ 弁済したか否かで後に争いにならないように、債務者には領収書を請
求する権利あり。借用書がなくても現実に新鮮貸借があれば、それを
立証する。 ┗ 債権証書(民法 487 条金額支払後返還請求可能)
3-1-1.弁済の提供
弁済の提供・・・債務の履行につき債権者の協力が必要な場合に、債務者の方
でやるべきことをやって債権者に協力を求めること。
・弁済の提供の効果
民法429条
esp.同時履行の抗弁権
<弁済の提供の原則>
①提供が「債務の本旨に従って現実に」なされたこと(民法 493 条)
②債務の全部を提供すること
民法493条「弁済ノ提供ハ債務ノ本旨二従ヒテ現実二之ヲ為スコトヲ要
ス但債権者ガ予メ其受領ヲ拒ミ又ハ債務ノ履行二付キ債権者
ノ行為ヲ要スルトキハ弁済ノ準備ヲ為シタルコトヲ通知シテ
其受領ヲ催告スルヲ以テ足ル」
・大判昭和9年2月26日
XはAのためにYから1500万円を借り受けた。弁済はAが直接Yに
行うということでAY間で合意が成立していた。しかし、実際にはAから
の弁済はなく、XY巻の協議の結果、債権額は1000万円に減額された。
XはYに2回に分けて500万円と490万円を支払った。しかし、10 万
円の不足があるために、XYは協力請求することとなった。
<債務不履行責任を免れる場合(民法493条但書)>
①債務者が受領を拒絶している場合
民法493条但書「債権者カ予メ其受領ヲ拒ミ・・・弁済ノ準備ヲ為シタルコ
トヲ通知シテ其受領ヲ催告スルヲ以テ足ル」
=口頭の提供
最判昭和32年6月5日
XYはXの所有する建物の賃貸借契約を締結した。
→Yの無断工事を理由とする解除+損害賠償請求⇒X,1審敗訴
→3ヶ月分の賃料不払いを理由とする解除
②債権者の協力がなければ債務者が履行することができない場合
3-1-2.第三者の弁済
・債務者以外の第三者による弁済=有効
民法474条1項「債務ノ弁済ハ第三者之ヲ為スコトヲ得」
→第三者による弁済ができないとする特約=有効
民法474条1項但書「但其債務ノ性質カ之ヲ許サザルトキ又ハ当事者カ
反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此限二在ラス」
・利害関係を持たない第三者は、債務者の意思に反して弁済することはで
きない(474条2項)
「利害関係のある第三者」
最判昭和39年4月21日
・・・民法474条2項の「利害の関係を有する者」とは、物上保証人・担保
不動産の第三取得者などのように弁済することに法律上の利害関係を有す
る第三者をいう。
*物上保証人:他人の債務のために自己の保有する財産を担保に供して質
権・抵当権を設定することを為した者。
「利害関係のない第三者」
民法462条
民法519条
履行補助者:債務者が為すべき履行を補助する者
履行代行者:許諾がある場合、やむをえない事情があるときは代理人をた
てて履行の代行をさせることができる。(104 条反対解釈)
3-1-3.債権の準占有者に対する弁済
民法478条「債権ノ準占有者二為シタル弁済ハ弁済者ノ善意ナリシトキ
債権総論
3.債権の消滅
3-1.弁済
弁済・・・債務の内容である給付を実現する債務の行為
*「弁済」と「履行」
履行:債務者のなすべき行為という観点から観た言い方
弁済:履行債務行為によって債務債権が消滅するという観点から観た言い方
・弁済による債権消滅の要件
①給付が債務の本旨に従ってなされること
②給付が債務の弁済のためになされること
┗ 弁済したか否かで後に争いにならないように、債務者には領収書を請
求する権利あり。借用書がなくても現実に新鮮貸借があれば、それを
立証する。 ┗ 債権証書(民法 487 条金額支払後返還請求可能)
3-1-1.弁済の提供
弁済の提供・・・債務の履行につき債権者の協力が必要な場合に、債務者の方
でやるべきことをやって債権者に協力を求めること。
・弁済の提供の効果
民法429条
esp.同時履行の抗弁権
<弁済の提供の原則>
①提供が「債務の本旨に従って現実に」なされたこと(民法 493 条)
②債務の全部を提供すること
民法493条「弁済ノ提供ハ債務ノ本旨二従ヒテ現実二之ヲ為スコトヲ要
ス但債権者ガ予メ其受領ヲ...