労働に関する社会政策の歴史

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    社会政策のポイント整理(2003 年版)
    第Ⅰ部 労働経済
    雇用と失業
    (1) 失業の類型
    ①一般的類型
    ②ケインズの類型
    自発的失業
    労働者が自らの意志で離職すること
    非自発的失業
    労働者が自らの意志に反して離職すること
    摩擦的失業
    労働力の移動に伴って発生する短期的失業
    (2) 労働統計にみる雇用・失業情勢
    ①労働力人口 = 就業者+完全失業者
    ②労働力率 = (労働力人口/15 歳以上人口)× 100
    ③完全失業率 = (完全失業者/労働力人口)× 100
    季節的失業
    季節的繁閑によって発生する一時的失業
    摩擦的失業
    労働力の移動に伴って発生する短期的失業
    景気的失業
    景気変動によって発生する失業(=循環的失業)
    構造的失業
    慢性的な有効需要の不足から発生する失業
    潜在的失業
    適当な仕事がないため求職を断念している状態。職場への不満による転職希望者,所得
    補充のための追加就業希望者,企業内の過剰雇用者などを含める場合もある。
    資本主義の発達 劣悪な労働環境(=原生的労働関係) 社会政策の発達
    労働力再生産の困難化 *工場法(英 1802 年→日1911 年)
    労働運動の多発 =紡績業の女性・年少労働者の時短
    した 従業者 就業者
    仕事を 休んでいた 休業者 労働力人口
    しなかった・探していた 完全失業者 15 歳以上人口
    探していなかった 非労働力人口
    2001 年の労働力人口は約 6,750 万人となり,3年連続の減少を記録した。男女比は6対4であるが,

    年比で男性は減少,女性は増加となった。その背景には,労働力のパート化がある。
    就業者は,自営業主・家族従業者・雇用者に区分される。このうち自営業主は,近年顕著な減少傾向を

    している。これは,高齢化した自営業主が不況を機に店をたたんでいるためである。雇用者数は微増
    とに
    とどまっているが,サービス業については好調な動きがみられる。
    2001 年の労働力率は 62.0%(男性約 75%,女性約 50%)で,合計・男性・女性のいずれにおいても

    年連続の減少となった。これは,雇用情勢の悪化で労働市場からの退出者が増えたためである。
    2001 年の完全失業者数は 340 万人,完全失業率は 5.0%で,いずれも調査開始以来の最高水準を更新

    つづけている。その背景には,雇用のミスマッチがある。若年層と高年齢層の失業率がとくに高く,

    者では自発的離職求職者と学卒未就職者,後者では非自発的離職求職者が多い。
    このPDFは FinePrint pdfFactory 試用版で作成されました 章 http://www.nsd.co.jp/share/
    2
    ④有効求人倍率 = 有効求人者数/有効求職者数
    (3) わが国の雇用政策
    A.雇用保険
    ①失業者等給付 ← 保険料(労使折半)+国庫負担
    求職者給付
    いわゆる失業手当。一般労働者の場合,離職前の賃金の6割を,原則 90-180 日分支
    給する。ただし,非自発的離職者,中高年齢層,セクハラ退社者は,給付日数を上乗
    せする。
    雇用継続給付
    ①継続雇用で賃金が低下した 60 歳代前半の雇用者へ支給される高年齢雇用継続給付,
    ②育児休業取得者へ支給される育児休業給付,③介護休業の取得者へ支給される介護
    休業給付などがある。
    ②雇用保険3事業 = 雇用安定事業,能力開発事業,雇用福祉事業
    B.職業紹介制度
    (4) 日本型雇用システム
    ①終身雇用制 = 新規

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    1
    社会政策のポイント整理(2003 年版)
    第Ⅰ部 労働経済
    雇用と失業
    (1) 失業の類型
    ①一般的類型
    ②ケインズの類型
    自発的失業
    労働者が自らの意志で離職すること
    非自発的失業
    労働者が自らの意志に反して離職すること
    摩擦的失業
    労働力の移動に伴って発生する短期的失業
    (2) 労働統計にみる雇用・失業情勢
    ①労働力人口 = 就業者+完全失業者
    ②労働力率 = (労働力人口/15 歳以上人口)× 100
    ③完全失業率 = (完全失業者/労働力人口)× 100
    季節的失業
    季節的繁閑によって発生する一時的失業
    摩擦的失業
    労働力の移動に伴って発生する短期的失業
    景気的失業
    景気変動によって発生する失業(=循環的失業)
    構造的失業
    慢性的な有効需要の不足から発生する失業
    潜在的失業
    適当な仕事がないため求職を断念している状態。職場への不満による転職希望者,所得
    補充のための追加就業希望者,企業内の過剰雇用者などを含める場合もある。
    資本主義の発達 劣悪な労働環境(=原生的労働関係) 社会政策の発達
    労働力再生産の困難化 *工場法(英 1802 年→日1911 年)
    労働運動の多発 =紡績業の女性・年少労働者の時短
    した 従業者 就業者
    仕事を 休んでいた 休業者 労働力人口
    しなかった・探していた 完全失業者 15 歳以上人口
    探していなかった 非労働力人口
    2001 年の労働力人口は約 6,750 万人となり,3年連続の減少を記録した。男女比は6対4であるが,

    年比で男性は減少,女性は増加となった。その背景には,労働力のパート化がある。
    就業者は,自営業主・家族従業者・雇用者に区分される。このうち自営業主は,近年顕著な減少傾向を

    している。これは,高齢化した自営業主が不況を機に店をたたんでいるためである。雇用者数は微増
    とに
    とどまっているが,サービス業については好調な動きがみられる。
    2001 年の労働力率は 62.0%(男性約 75%,女性約 50%)で,合計・男性・女性のいずれにおいても

    年連続の減少となった。これは,雇用情勢の悪化で労働市場からの退出者が増えたためである。
    2001 年の完全失業者数は 340 万人,完全失業率は 5.0%で,いずれも調査開始以来の最高水準を更新

    つづけている。その背景には,雇用のミスマッチがある。若年層と高年齢層の失業率がとくに高く,

    者では自発的離職求職者と学卒未就職者,後者では非自発的離職求職者が多い。
    このPDFは FinePrint pdfFactory 試用版で作成されました 章 http://www.nsd.co.jp/share/
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    ④有効求人倍率 = 有効求人者数/有効求職者数
    (3) わが国の雇用政策
    A.雇用保険
    ①失業者等給付 ← 保険料(労使折半)+国庫負担
    求職者給付
    いわゆる失業手当。一般労働者の場合,離職前の賃金の6割を,原則 90-180 日分支
    給する。ただし,非自発的離職者,中高年齢層,セクハラ退社者は,給付日数を上乗
    せする。
    雇用継続給付
    ①継続雇用で賃金が低下した 60 歳代前半の雇用者へ支給される高年齢雇用継続給付,
    ②育児休業取得者へ支給される育児休業給付,③介護休業の取得者へ支給される介護
    休業給付などがある。
    ②雇用保険3事業 = 雇用安定事業,能力開発事業,雇用福祉事業
    B.職業紹介制度
    (4) 日本型雇用システム
    ①終身雇用制 = 新規学卒者を採用し,定年まで雇用を保障する制度
    ②年功賃金制 = 勤続年数に応じて賃金を支払う制度。労働者の家族への責任度も考慮されている。
    ③企業別組合 = 「労働組合・(1)労働組合の類型」の項を参照のこと。
    わが国の場合,不況だからといって常雇用者がいきなりクビにされることはない。まずは大量に存在する

    時・日雇い労働者の雇用量が減らされたり,常雇用者の残業規制や配置転換・出向が実施されたりする。

    のように雇用保蔵が行われることで,わが国の終身雇用は維持されてきた。
    近年では,不況や高齢化の影響によって,年功賃金制を維持することが困難となりつつある。そこで,年
    俸制などを導入し,労働者の能力に応じた賃金を支払おうとする企業も増えている。
    失業率は若年層と高年齢層の両方で高いが,有効求人倍率は若年層で高く,高年齢層で低い。つまり,
    若年
    層よりも高年齢層のほうが長期的失業に陥りやすい。
    2001 年の有効求人倍率は 0.59 倍で,前年と同水準を記録した。パートタイム求人は一般求人を上回る

    加幅を示したが,年後半には減少に転じ,雇用を下支えするほどの力はなかった。
    失業の防止と失業者の生活保障を目指す社会保険制度。農林水産業の一部を除き,全産業の雇用者が

    制加入とされる(公務員には適用されない)。失業等給付と雇用安定3事業を二本柱とする。
    1999 年から,公共職業安定所による無料職業紹介に加え,民間の有料紹介事業も認められている。
    ただ
    し,港湾運送および建設業務については,例外的に禁止措置が続いている(ネガティブ・リスト方式
    )。
    従来のわが国では,終身雇用制・年功賃金制・企業別組合を三本柱とする独特の雇用システムが維持
    され
    てきた。これを日本型雇用システムという。このうち終身雇用制と年功賃金制は大正期に成立し,
    大企業
    の男性ホワイトカラー層を中心に普及した。企業別組合は第2次世界大戦後になって成立したものである。
    ただし,近年では高齢化の進展と不況の影響で,これらが大きく揺らいでいる。
    かつての「失業対策」は,おもに失業への事後的対応を図ろうとするものであったが,今日の「雇用政策

    は,それに加えて失業の予防をも図ろうとしている点に特徴がある。
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    3
    賃 金
    (1)最低賃金制
    A.最低賃金制の普及
    B.わが国の最低賃金制
    ①59 年法と68 年法
    最低賃金法(1959 年)=「最賃制らしからぬ最賃制」
    改正法(1968 年)
    業者間協定に基づく最低賃金(第9条) 主流
    業者間協定に基づく地域的最低賃金(第 10 条)
    労働協約に基づく地域的最低賃金(第 11 条)
    最低賃金審議会の調査審議に基づく最低賃金(第 16 条)
    × 削除
    × 削除
    一部で用いられている
    主流
    ②審議会方式の仕組み
    ③最低賃金の水準
    (2) 賃金
    A.わが国における賃金水準の決定
    ①属人給
    経験-賃金プロファ 賃 賃
    イル(男性)の比較 金 金
    経験年数 経験年数
    わが国の傾きは欧米諸国より 高学歴者ほど初任給が高く,
    も急で,ピーク年齢が遅め。 その後の上昇率も大きい。
    ②春闘(春季賃金闘争)
    最低賃金制とは,「(前略)賃金の最低額を保障することにより,労働条件の改善を図り,もって
    労働者
    の生活の安定,労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに,国民経済の健全な

    達に寄与することを目的とする」(最賃法1条)ものである。最低賃金制は,1894 年に
    ニュージーランド
    で始まり,20 世紀になるとイギリスをはじめとする欧米諸国にも普及した。わが国では 1959 年に
    最低賃
    金法が成立し,1968 年にこれが大改正された。
    最低賃金審議会 (答申) (決定)
    厚生労働大臣 地域別別最低賃金/産業別最低
    賃金(いずれも都道府県単位。
    都道府県労働局長 同時に適用される場合は高い方)
    労働者代表委員,
    使用者
    代表委員,公益代表委員
    「最低賃金は,労働者の生計費,類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定

    られなければならない。」(最賃法3条)
    わが国では,労働者の性・年齢・学歴・勤続年数に応じて賃金が決定されやすい(属人給)。これに

    して,欧米諸国では,ポストに応じて賃金が決定されている(職務給)。
    日本 欧米
    大卒
    高卒
    中卒
    わが国では,毎年1回,春闘の労使交渉において,賃金率の引き上げ(定期昇給分+ベースアップ分

    が図られてきた。その際に,労働組合側は業績の好調な電機・自動車・電力・通信の各産業(90
    年代
    の場合)における交渉を先行させ,これをパターン・セッターとして,他産業での交渉を有利に進

    ようとしてきた。なお,これに対抗して旧日経連は生産性基準原理を唱え,ベースアップを生産性

    向上分以内に抑えるべきだと主張してきた。
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    B.近年の賃金事情
    ①現金給与総額
    ②春闘の賃上げ額・賃上げ率
    C.賃金格差の一般的傾向
    男女間格差
    高度経済成長期に縮小し,安定成長期に再び拡大した。
    年齢間格差
    好況期に縮小し,不況期に拡大する傾向にある。
    学歴間格差
    若年時の格差は小さく,加齢とともに格差が拡大する傾向にある。
    企業間格差
    高度成長期に著しく縮まったが,格差は残っている。
    産業間格差
    公益産業や金融・保険業で高く,卸・小売業や製造業で低い。
    地域間格差
    大都市地域で高く,その他で低い。
    労働時間
    (1) わが国の総実労働時間の現状
    A.近年の労働時間情勢
    ①年間総実労働時...

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