1
「国民経済システム」レポート
『三面等価の原則について』
<はじめに>
<GNPの三面等価>
1.生産国民所得(国民総生産、GNP)
2.分配国民所得(国民総所得、GNI)
3.支出国民所得(国民総支出、GNE)4.まとめ
<おわりに>
2
国民経済システム
三面等価の原則について
<はじめに>
資本主義経済のシステムの原動力は「商品」である。使用価値と交換価値の両方を併せ
持つほとんど全てのものを「商品化」し、財・サービスとして貨幣の介入により「商品」
の生産活動と消費活動が結び付けられる。この生産と消費を繰り広げる経済活動により、
経済規模が収縮したり拡大したりする。この経済規模を表す指標にGNPとGDPがある。
GNP(Gross National Product)は一国における国民によって、ある一定期間内に新た
に生産された最終生産物にその市場価格を全て加えた値である。GDP(Gross Domestic
Product)とは、一国内で国内に存在する生産要素によって生産された最終生産物の総額で
ある。資本主義経済の進展とグローバル化により、外国人の日本での就労や日本人の海外
での就労が多く見られるようになったことに伴い、海外への送金や海外からの送金も増加
している。今日では、統計の範囲を「国民」とするGNPに代わって、統計の対象を「国
内」とするGDPが国内の経済規模の尺度として用いられるようになった。GDPは統計
対象を「国内」に限定しているため、海外との取引や海外からの入出金は統計に含めない。
GNPとGDPは合計の範囲に違いがあるものの、ほぼ同質で同値の指標であり、同一視
することができる。この経済規模の指標であるGNPは「生産面」「(所得)分配面」「支出
面」の3つの側面から見るとその総額が等しいという特徴がある。これを三面等価の原則
という。
<GNPの三面等価>
1.生産国民所得(国民総生産、GNP)
生産国民所得とは、GNPを文字通り生産面から捉えたもので、労働・資本・生産要素
の投入により算出されたモノの総額から、財・サービスの生産に生産要素として再度投入
される中間生産物を差し引いた残高である。これは、最終生産物だけでなく、中間生産物
段階を含めた全ての生産段階で発生する(新たに生産された)付加価値の合計であるとい
うこともできる。付加価値とは、生産要素の投入額を上回る部分である生産要素(労働サ
ービス、資本設備、土地等)の貢献分である。平成10年の統計では、産出額が 9,512 億
円、中間生産額は 4,541 億円(付加価値合計 4,971 億円)、統計上の不突合 14 億円で国内
総生産(GDP)は 4,985 億円となる。さらに、海外からの純要素所得 72 億円を加えると
国民総生産(GNP)は 5,057 億円となる。
3
2.分配国民所得(国民総所得、GNI)
分配国民所得とは、生産に貢献した労働者・資本・土地などに対する貢献の対価(貢献
料)としての賃金・利潤・地代・利子など誰にどのような形でGNPが所得として分配さ
れたかを捉えたものである。平成10年において、企業利潤(所得)906 億円、雇用者所得
2,825 億円、税収(間接税)408 億円、固定資本減耗 832 億円である。このように、新たに
生産された付加価値は、その全てが生産に貢献した労働者や資本金、土地などに対してそ
の対価として分配され、誰かの所得となるのである。しかし、ここで注意を要することは、
企
1
「国民経済システム」レポート
『三面等価の原則について』
<はじめに>
<GNPの三面等価>
1.生産国民所得(国民総生産、GNP)
2.分配国民所得(国民総所得、GNI)
3.支出国民所得(国民総支出、GNE)4.まとめ
<おわりに>
2
国民経済システム
三面等価の原則について
<はじめに>
資本主義経済のシステムの原動力は「商品」である。使用価値と交換価値の両方を併せ
持つほとんど全てのものを「商品化」し、財・サービスとして貨幣の介入により「商品」
の生産活動と消費活動が結び付けられる。この生産と消費を繰り広げる経済活動により、
経済規模が収縮したり拡大したりする。この経済規模を表す指標にGNPとGDPがある。
GNP(Gross National Product)は一国における国民によって、ある一定期間内に新た
に生産された最終生産物にその市場価格を全て加えた値である。GDP(Gross Domestic
Product)とは、一国内で国内に存在する生産要素によって生産された最終生産物の総額で
ある。資本主義経済の進展とグローバル化により、外国人の...