PPBSの持つメリットとしては、
1)計画策定の時点でコスト意識を持つようになる。コスト意識が比較的希薄であった公共組織において、PPBSの作成を通じて、組織構成員が自分たちの計画しているプロジェクトのコストについて強く意識するようになった。
2)社会情勢の予算編成に反映されやすくなる。すなわち、PPBSの下では、社会と公共組織とのフィードパック・システムができやすくなるということである。
3)マネジメント・サイクルの定着。PPBSは過去と将来の検討を義務付けている。これは組織管理論が強調しているマネジメント・サイクルが予算編成過程のなかで結果的に生かされているということである。
しかし、PPBSは実用上いくつかのデメリットがあったのも事実である。
(1)効果の把握が難しい、PPBSの中心は計画を持つ費用・効果比の把握である。PPBSに入る前に、効果把握の難しい分野に対しては、別の把握方式を整備しなければならない。
(2)指導者の欠徐。新しい試み、特にPPBSのように組織全体に関連する試みを実行していく場合には,システムの持つ意義を正確に理解し、積極的に構成員を説得していくだけの知識を持っているリーダでなければなければならない。
PPBS導入にあたっては指導者の育成が先決である。
以上、論じたようにPPBSは計画策定・プログラム作成・予算編成の三部分から成り立つ。PPBSは一定費用で最大効果をもたらす案、一定効果に対し最小費用の案、限界費用に対し限界効果の高い案のような代替案の作成を、システム分析の手法で行うことによってメリットが生じる。しかしながら、PPBSの実行に伴う問題点が避けられない、PPBSが組織管理面への導入が遺憾でありながら、うまく行ってなかったようである。
PPBSについて
序論
政策科学とは公共的秩序及び市民的秩序の決定過程についての知識とその過程において役立てられる知識を取り扱う学問である。政策科学をもっとも代表するシステムというと、PPBSのほかならないだろう。本論ではPPBSの講義の内容をまとめ、本人なりの見解を加え、文章を展開していくことにする。
以下では、まず、PPBS構成を簡潔に紹介し、そして、PPBSが持っているメリットとデメリットを示し、最後にPPBSの社会への適応性の期待を考察することにする。
本論
PPBSは1961年、アメリカ連邦政府の予算計画の作成、評価の方法として導入したものである。それは、計画策定と予算編成とを結びつけることによって、資源配分に関する意思決定を一貫して効果的に行うとするシステムである。PPBSは以下の3つのプロセスによって成り立つ。
(1)計画策定
組織のもっている必要はほとんど無限であるのに対して、その自由にする資源は限られているため、さまざまな目的のなかで、まず何をな...