NTT が「独占」企業として取り上げられることが多いが、それはかつての電電公社は電話サービスのあらゆる面で「独占」企業であったといえる。しかしながら、NTT は一部の資産、サービスを除けば「独占」企業でないと私は考えている。一部の資産、サービスとは固定電話に関する資産である。これは電電公社の資産を引き継いでいる以上やむ得ない
ものであり、独占していることの事実は否定できない。一方で民営化移行、独自に普及に努めてきた光ファイバーに関する資産については、独占とはいえないだろう。国費などの税金投入で敷設してきたわけでもなく、現実的に他社( 通信、鉄道、電力会社など)も独自に設備投資をし、光ファイバーを敷設していることからも、完全競争市場でのサービス展開をしていると解釈できる。
電電公社時代は国策( 電話の積堆解消) としての位置づけもあったことから、庶民生活の利便性が向上することに注力がされている企業活動だったと考えられる。そのため、事業の採算性を考慮することは重要ではなかったと思われる。しかしながら、当初の目的であった電話の積堆解が達成されたならば、事業の採算性を無視することはできなくなって
くる。即ち、企業が抱える費用を全て消費者への価格に転嫁して事業を継続するといったことは消費者が不利益になることから、市場競争の原理から言えば「独占」企業の弊害と捕らえることができる。
設問
本講義にて学んだキーワード或いは、キーコンセプトを選択し、実際の経済問題にどのよ
うに解釈できるかを考えよ。
■ 不完全競争市場と独占について
キーワード:完全競争市場、不完全競争市場、独占
「不完全競争市場」では生産者が生産量を変化させることによって、価格を動かすこと
のできる「プライスメーカー」となる。そして、価格支配力の他に企業、或いは生産者の
数、さらには生産物の差別化などによって「独占」、「独占的競争」、「寡占」にわけること
ができる。
ここでは「独占」とは何か、「独占」の弊害について触れることとする。
「独占」とは文字通り1社で全ての生産を行っている状態を指しており、独占的地位に
ある企業は生産物の価格を自由に設定できる価格支配力をもっている。そして一方では、
供給量も事由に決めることができる。新規参入も困難であることから、製品の差別化も必
要性がない。このような「独占」企業について日本の企業のなかでからかつての独占企業
であった電電公社を事例とし、民営化後の効果を含め概観をしてみたい。
NTT が「独占」企業として取り上げられることが多いが、それはかつ...