社会福祉調査の性格と類型についてまとめ、統計調査と事例調査の相違について述べなさい。
1 社会福祉調査の性格について
社会福祉調査は社会調査の一応用であり、基本的な調査理論や技術は社会調査に依拠している。しかし、社会福祉調査と社会調査は異なるものである。
社会調査とは、①社会または社会事象について、②現地調査により、③科学的な資料や統計的推論のための資料を得る事を目的とした調査のことである。資料(データ)収集方法やその結果を記述・分析するまでの過程を含めたものである。机上で理論や技術を学ぶだけでなく、繰り返し実践し、経験を積んで初めて熟達できる専門的訓練が要求される方法・技術である。
社会福祉調査は、ニーズや実態を把握し、その解決策を導き出すことを目的として、サービス、援助、事業運営、制度・政策等をより良い物にする事を狙いとしている。つまり、よりよい生活及び福祉の向上を図る事に貢献しようという意図がある。そのため、社会調査と区別する為に福祉という言葉を含んでいるのである。
2 社会福祉調査の類型について
社会福祉調査には、接近方法、収集するデータの性質、調査対象範囲、調査方法という分類がある。
(1) 接近方法による分類からみた種類
何のために調査をするかという点から分類すると、基礎資料的接近型、問題解決的接近型、理論構想的接近型の三つに大別できる。
①基礎資料的接近型とは、社会福祉の現状を知る上で、信頼性の高い基礎資料を提供するものである。
②問題解決的接近型とは、各種のニーズ把握やサービス利用希望などを調査するものである。
③理論構成的接近型とは、一般理論又は一般仮説を得る事を目的とした調査である。
(2) 収集するデータの性質による分類からみた種類
量的データとして収集する統計調査と質的データとして収集する事例調査がある。
①統計調査は、多数の事例の少数の側面を標準化・体系化された手法を用いて客観的に計量し、統計的技術を用いて記述、分析する調査である。
②事例調査とは、特定の個人や家族など少数の対象を選び、その全生活過程などを主観的・洞察的に把握し、その分析と比較から普遍的原理を形成しようとする調査である。
(3)調査対象範囲による分類からみた種類
大きくは、①全数調査②標本調査③典型調査の3タイプに分けることが出来る。
①全数調査は、調査対象者の全員をくまなく調査するものである。
②標本調査は、調査対象の中から一部の人を選び調査を行い、その結果から全員についての推定を行うものである。
③典型調査とは、調査対象範囲の決定に当たって、典型的な範囲を選び、事例研究を行うものである。
(4)現地調査の方法による分類からみた種類
現地調査の方法により分類すると、統計調査の場合に用いられる①質問紙法と、事例調査で用いられる②自由面接法③観察法がある。
①質問紙法は、質問紙を用いて調査対象者に回答を求め、データを収集する方法である。
②自由面接法とは、臨機応変に質問を変え、会話を展開するなかで情報を収集する面接法である。
③観察法とは、主として視覚を用いて対象を観察する調査である。
(5)統計調査の特性と意義について
社会福祉調査の調査技法のなかで、統計調査による情報収集が担う点は、末節の違いを捨象して残る個別対象の本質や共通点を集団として一定の基準により体系的に捉えることである。即ち、統計調査は、援助対象の個別の多用な特性や少数の例外的な存在により見え難かった点を、一定の基準により相対化・抽象化・定量化することで個を集団とし
社会福祉調査の性格と類型についてまとめ、統計調査と事例調査の相違について述べなさい。
1 社会福祉調査の性格について
社会福祉調査は社会調査の一応用であり、基本的な調査理論や技術は社会調査に依拠している。しかし、社会福祉調査と社会調査は異なるものである。
社会調査とは、①社会または社会事象について、②現地調査により、③科学的な資料や統計的推論のための資料を得る事を目的とした調査のことである。資料(データ)収集方法やその結果を記述・分析するまでの過程を含めたものである。机上で理論や技術を学ぶだけでなく、繰り返し実践し、経験を積んで初めて熟達できる専門的訓練が要求される方法・技術である。
社会福祉調査は、ニーズや実態を把握し、その解決策を導き出すことを目的として、サービス、援助、事業運営、制度・政策等をより良い物にする事を狙いとしている。つまり、よりよい生活及び福祉の向上を図る事に貢献しようという意図がある。そのため、社会調査と区別する為に福祉という言葉を含んでいるのである。
2 社会福祉調査の類型について
社会福祉調査には、接近方法、収集するデータの性質、調査対象範囲、調査方法と...