完全5日制の実施に伴い、開かれた学校の推進を図っていく必要があるが、このためには、どのような理念をもって、どのような教育課程を編成したら良いか。教科書及び高等学校指導要領(平成11年文部省告示)第一章総則等を参考にしながら述べよ。
わが国の社会が大きな変動を遂げたのは、戦後の高度経済成長化以後のことといわれている。核家族、少子化、生産活動過程での地域関係の必要性がなくなった為に近隣関係が希薄化した現代社会にあって、「子育ての私事化」が顕著となり、そうした状況の中で親および子供双方に様々な問題を生み出してきた。
戦前にも少年に拠る凶悪犯罪はあったが、あまりにも現代と社会の仕組みが違うこと,解決すべき問題点は現代にあるという視点から、戦後の少年非行の主要刑法犯で検挙・補導された少年の人員(触法少年含む)の推移をみると、昭和24年~26年までの上昇は,戦後の混乱した社会で少年だけでなく,おとなの犯罪も急増した時期と理解できる。昭和29~39年頃までは、戦後の社会復興のもと、太陽族や愚連隊と呼ばれる金目当ての非行グループが急増し、彼らは,自分の経済状況は下流にあることを認識した上で窃盗等を行っていた。しかし、高度成長期に入ると少年非行が一般家庭へ拡散し、暴走族の増加・遊び型非行・初発型非行がその特徴となり、昭和58年に戦後最悪を記録し、平成8年から再び上昇傾向を示す。また、現代の少年非行を考えると数より質である。ここ5・6年間の特質として、いじめ・女子の家出や売春の増加・覚せい剤や薬物乱用・強盗や殺人など、多様化と凶悪化・低年齢化があげられ、さらに、非行少年に罪の意識が薄いという指摘・虞犯少年と「暗数」の存在は憂慮すべき現実である。
この様な多くの課題を抱える中で、学校、家庭、地域社会の役割を明確にし、それぞれが協力して豊かな社会体験や自然体験などの様々な活動の機会を子どもたちに提供し、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などの「生きる力」をはぐくむことをねらいとし、より「開かれた学校づくり」を推進するために、平成14年度から学校週5日制が導入された。「開かれた学校づくり」を見据えた教育課程の編成とはどの様なものだろうか。
教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために各学年の授業時数との関連において、学習指導要領に示された内容を総合的に組織した学校の教育計画のことである。つまり、教育課程とは、それぞれの学校の教育の中核となる教育計画であり、法律の定めるところに従い、子ども一人ひとりの人間として調和のとれた育成をめざし、地域や学校の実態、子どもの心身の発達段階や特性等を十分に考慮した教育を推進していく際のよりどころとなる。学習指導要領は、学校教育にかかわる基本的事項を規定するもので、国の基準として文部科学大臣が告示し、国民一般に示すものである。学習指導要領は、各学校が編成する教育課程の基準となるものであり、法的拘束力をもっている。学校、教師は、学習指導要領に示す範囲内で創意工夫をしていくことは大いに求められていることだが、学習指導要領を逸脱した教育を行うことはできない。
それでは、実際の教育活動をすすめていく上で必要なことは何であろうか。高等学校学習指導要領第1章総則第1款教育課程編成の一般方針に書かれている様に、『生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,各学校において,生徒に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で,自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに,基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り,個性を生か
完全5日制の実施に伴い、開かれた学校の推進を図っていく必要があるが、このためには、どのような理念をもって、どのような教育課程を編成したら良いか。教科書及び高等学校指導要領(平成11年文部省告示)第一章総則等を参考にしながら述べよ。
わが国の社会が大きな変動を遂げたのは、戦後の高度経済成長化以後のことといわれている。核家族、少子化、生産活動過程での地域関係の必要性がなくなった為に近隣関係が希薄化した現代社会にあって、「子育ての私事化」が顕著となり、そうした状況の中で親および子供双方に様々な問題を生み出してきた。
戦前にも少年に拠る凶悪犯罪はあったが、あまりにも現代と社会の仕組みが違うこと,解決すべき問題点は現代にあるという視点から、戦後の少年非行の主要刑法犯で検挙・補導された少年の人員(触法少年含む)の推移をみると、昭和24年~26年までの上昇は,戦後の混乱した社会で少年だけでなく,おとなの犯罪も急増した時期と理解できる。昭和29~39年頃までは、戦後の社会復興のもと、太陽族や愚連隊と呼ばれる金目当ての非行グループが急増し、彼らは,自分の経済状況は下流にあることを認識した上で窃盗等を行...