1945(昭和20)年8月、太平洋戦争は日本の敗戦という形で終結した。この戦争は日本に未曾有の混乱と窮乏をもたらした。食糧難と住宅難は極度に達し、街には家や親を失った戦災孤児や引き上げ孤児達があふれた。政府にとっての緊急な課題は、これらの孤児にまず住む場所と食料を与えることであった。そのような背景の中、翌年の4月に「浮浪児その他の児童保護等の応急措置実施に関する件」が通達された。また、特に浮浪児が集中している7大都道府県には、「主要地方浮浪児等保護要綱」が指示された。このように政府は、もっぱら浮浪児対策に終始している有り様であった。
児童福祉法の成立と内容を中心に我が国の児童福祉の発展についてまとめ、今後の児童福祉のあり方について述べなさい。
1・児童福祉法成立の背景
1945(昭和20)年8月、太平洋戦争は日本の敗戦という形で終結した。この戦争は日本に未曾有の混乱と窮乏をもたらした。食糧難と住宅難は極度に達し、街には家や親を失った戦災孤児や引き上げ孤児達があふれた。政府にとっての緊急な課題は、これらの孤児にまず住む場所と食料を与えることであった。そのような背景の中、翌年の4月に「浮浪児その他の児童保護等の応急措置実施に関する件」が通達された。また、特に浮浪児が集中している7大都道府県には、「主要地方浮浪児等保護要綱」が指示された。このように政府は、もっぱら浮浪児対策に終始している有り様であった。
これに対し、当時のアメリカ占領政策は、児童問題に特別の関心を示し、GHQ覚書「監
督保護を要する児童の件」にて、児童保護・児童福祉の必要性を強調した。これを受けて日本政府は、児童保護の問題を根本的に解決するために、1946年12月に厚生大臣が、児童保護事業の具体的対策について、「児童保護法要綱案」を添付して中央社会事業委...