1-104元運動量

閲覧数1,398
ダウンロード数9
履歴確認

    • ページ数 : 4ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    4元運動量
    「E = mc2」 はこんなに簡単に求められるんだよ。
    4元運動量
     前に4元速度を定義したが、確かに4元速度は素人には使い道がないのでつまらない。 では、これを4元運動量に拡張してやったらどうだろう。 力学で、速度と質量を掛け合わせることで運動量を定義したように、4元速度と質量を掛け合わせることで「4元運動量」を作るのだ。 これには意外な結果が待っている。
     ただ、しかし、運動量を作るために4元速度と質量を掛け合わせただけでは不都合がある。 それは単位の問題である。 普通の速度は距離を時間で割ったものだが、4元速度は距離を「固有時」で割ったものである。 固有時は時間に光速度 c を掛けて長さの単位に合わせたものであった。 つまり、4元速度は長さを長さで割っていることになるので無次元量になってしまっている。 時間を長さの単位で表すために掛けた光速度 c の分だけ割りすぎているのである。 そこで4元運動量を定義する際に、その分を掛けて単位をちゃんと普通の運動量の単位に合わせておくことにしよう。
     本来こういうことは4元速度の定義のところで光速度 c を掛けて調整しておくべきなのだが、今回は話の流れ上、私が学生時代に愛読していた本に従った。 それで、そのツケが4元運動量の定義の部分に回ってきただけの話である。 教科書によってはちゃんと4元速度に光速度cを掛けて定義してあるものもある。
     とにかく、次のように4元運動量 ( p0, p1, p2, p3 ) を定義しよう。
    p0 = mc u0,  p1 = mc u1,  p2 = mc u2,  p3 = mc u3
     これは4元速度に mc を掛けただけなので当然次のような組み合わせは不変量になる。
    (mc)2 = ( p0 )2 - ( p1 )2 - ( p2 )2 - ( p3 )2
     前に出てきた4元速度についての式の両辺に (mc)2 を掛けてやっただけだ。 この式はしっかり意味を考えて見なくてはならない。 p のすぐ右上についている数字はべき乗を表すのではなく、ただの添え字である。 そして、括弧の外についている「2」は、2乗を表している。
     さて、数式の上では憧れの「E = mc2」にかなり近づいている。 これをちょっといじるだけでよい。 このまま一気になだれ込みたいところだが、正しい議論のためにこの4元運動量の意味を確認しておく必要がある。
    4元運動量の意味を考える
      前回の一番最後で計算した結果を使ってやれば、4元運動量はそれぞれ、
    p0 = mcγ,  p1 = γmvx ,  p2 = γmvy ,  p3 = γmvz
    のようになる。 p0 についてはまだ意味が良くわからないが、他の3つについては普通の運動量の定義に γ がついただけである。 γというのは 1 / √( 1 - v2/c2 ) のことであって、速度 v が光速度 c と比べて極端に小さい時にはほとんど1に近い。 よって、4元運動量の3つの部分はニュートン力学的な極限で普通の運動量の定義と同じものになるのである。
     ここで我々は、ハタと考えを改めて、こちらを本当の運動量として受け入れることにするのである。 今までは無邪気に質量と速度を掛け合わせただけで満足していたのだが、運動量の本質というのはもっと別のものであって、なぜか、p = mv / √( 1 - v2/c2 ) と表せる量なのだ、と考える事にするのである。 我々はこれまでその低速の極限で成り立つ p = mv という定義で

    タグ

    資料の原本内容

    4元運動量
    「E = mc2」 はこんなに簡単に求められるんだよ。
    4元運動量
     前に4元速度を定義したが、確かに4元速度は素人には使い道がないのでつまらない。 では、これを4元運動量に拡張してやったらどうだろう。 力学で、速度と質量を掛け合わせることで運動量を定義したように、4元速度と質量を掛け合わせることで「4元運動量」を作るのだ。 これには意外な結果が待っている。
     ただ、しかし、運動量を作るために4元速度と質量を掛け合わせただけでは不都合がある。 それは単位の問題である。 普通の速度は距離を時間で割ったものだが、4元速度は距離を「固有時」で割ったものである。 固有時は時間に光速度 c を掛けて長さの単位に合わせたものであった。 つまり、4元速度は長さを長さで割っていることになるので無次元量になってしまっている。 時間を長さの単位で表すために掛けた光速度 c の分だけ割りすぎているのである。 そこで4元運動量を定義する際に、その分を掛けて単位をちゃんと普通の運動量の単位に合わせておくことにしよう。
     本来こういうことは4元速度の定義のところで光速度 c を掛けて調整しておくべきなのだが、今回は話の流れ上、私が学生時代に愛読していた本に従った。 それで、そのツケが4元運動量の定義の部分に回ってきただけの話である。 教科書によってはちゃんと4元速度に光速度cを掛けて定義してあるものもある。
     とにかく、次のように4元運動量 ( p0, p1, p2, p3 ) を定義しよう。
    p0 = mc u0,  p1 = mc u1,  p2 = mc u2,  p3 = mc u3
     これは4元速度に mc を掛けただけなので当然次のような組み合わせは不変量になる。
    (mc)2 = ( p0 )2 - ( p1 )2 - ( p2 )2 - ( p3 )2
     前に出てきた4元速度についての式の両辺に (mc)2 を掛けてやっただけだ。 この式はしっかり意味を考えて見なくてはならない。 p のすぐ右上についている数字はべき乗を表すのではなく、ただの添え字である。 そして、括弧の外についている「2」は、2乗を表している。
     さて、数式の上では憧れの「E = mc2」にかなり近づいている。 これをちょっといじるだけでよい。 このまま一気になだれ込みたいところだが、正しい議論のためにこの4元運動量の意味を確認しておく必要がある。
    4元運動量の意味を考える
      前回の一番最後で計算した結果を使ってやれば、4元運動量はそれぞれ、
    p0 = mcγ,  p1 = γmvx ,  p2 = γmvy ,  p3 = γmvz
    のようになる。 p0 についてはまだ意味が良くわからないが、他の3つについては普通の運動量の定義に γ がついただけである。 γというのは 1 / √( 1 - v2/c2 ) のことであって、速度 v が光速度 c と比べて極端に小さい時にはほとんど1に近い。 よって、4元運動量の3つの部分はニュートン力学的な極限で普通の運動量の定義と同じものになるのである。
     ここで我々は、ハタと考えを改めて、こちらを本当の運動量として受け入れることにするのである。 今までは無邪気に質量と速度を掛け合わせただけで満足していたのだが、運動量の本質というのはもっと別のものであって、なぜか、p = mv / √( 1 - v2/c2 ) と表せる量なのだ、と考える事にするのである。 我々はこれまでその低速の極限で成り立つ p = mv という定義でうまく現象が言い表せていたのでそれを長い間楽しんでいただけなのである。
     実際この考えを受け入れなければ、今までどおりの方法で運動量保存則が使えないことが分かる。  光速に限りなく近くまで加速した物体Aが、同じ程度の質量を持つ静止した物体Bに衝突したとしよう。 あまりに勢いが強いので物体Bをも光速近くまで加速することが起こり得る。 それで、物体Aはどのくらい減速するだろうか?  減速はするがそれでもまだ光速にかなり近いということがありうるだろう。  もしこのときに今まで通りの運動量の定義を使っていた場合、速度にそれほどの変化が見られないので運動量はほとんど変わりがないことになってしまう。 今までの定義では、運動量が mc で頭打ちになってしまうので、これまでのような普通の運動量の足し算が使えなくなってしまうのである。
     その点、新しい運動量の定義は便利であって、これまで通り、普通の足し算で計算できるのである。 運動量保存則を変更する必要もない。 やはり、こっちが本物だと考えた方がよいであろう。
    p0 の正体
     そういうわけで、p1 は px であって、他の二つもそれぞれ py , pz と書いてやって問題ない。 よって先ほどの式は
    (mc)2 = ( p0 )2 - px2 - py2 - pz2
    と書けるのであるが、式をすっきりさせるために、運動量をまとめて p2 = px2 + py2 + pz2 で表してやれば、
    (mc)2 = ( p0 )2 - p2
    と書ける。 残る問題は、では p0 の正体は何でしょう?ということである。 それを探ってやるために式の順序を入れ替えて p0 について解くことをしてやれば、
    ( p0 )2 = (mc)2 + p2
     すなわち、
    p0 = √{ (mc)2 + p2 }
     あとは式の変形を見ていってもらいたい。
    p0 = (mc) √{ 1 + p2/ (mc)2 }
     ここでルートの中身は p2 が (mc)2 に比べて非常に小さい時に次のような近似で展開できる。 これは微分の教科書を参考にして欲しい。
    p0 = (mc){ 1 + p2/ 2(mc)2 + ...... }
     よって、
    p0 = mc + p2/ 2mc + .......
     ここまで来たら、もう気付いて欲しいものだ。 この式の右辺の第2項は運動エネルギーの式に似ている、と。 ただ分母に c が余分なだけである。 よって、この式全体に c を掛けてやれば、これはエネルギーについての式になるのではないか。
    p0c = mc2 + p2/ 2m + .......
     すなわち、p0 に c を掛ければエネルギーを表すことになるのである。 p0 の正体は、「エネルギーを c で割ったもの」だったのだ。  ここでもし、p = 0 であるならば、物体が動いていない時のエネルギーを表しており、E = mc2 となるわけである。  しかし、すぐ上の式は飽くまでも運動量が0に近いときの近似に過ぎないのであって、
    E2 = ( mc2 )2 + ( pc )2
    と表すのが正確な表現である。
    資料提供先→  http://homepage2.nifty.com/eman/relativity/4momentum.html

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。