人格形成に影響を及ぼす環境要因とその役割について述べよ
人間の行動は、まわりの状況や刺激など環境によって影響される。しかし、環境の諸条件が全く同じであっても、その時の個人の行動や思考が同一であるとは限らない。
「人格」とは、その人の行動や思考の基準であり、それぞれの個人に特徴的な、また一貫し持続性をもった性質であるといえる。一般的に心理学でいう人格とは、道徳的な意味での「良い、悪い」の価値評価を持っていない。ごく簡単にいえば、人としての特性、すなわち「その人らしさ」という意味で取り扱っている。人それぞれが属している社会をもっていることを示している。この一連の行動パターンを性役割という。男と女の行動の違いは、身体的・生物学的レベルでも規定されているのは事実だが、性役割といった社会的な役割文化は、主として社会・文化レベルにおいて学習されたものであると考えられている。
性格という個人差の形成には、多くの要因が考えられるが、おおまかには、生得的な行動の個人差を決める気質的傾向などの個体的・生物学的要因が基礎にあり、それに社会環境からの働きかけがかかわって一定の性格傾向が形づくられると考えられている。
人格(personality)と性格(character)
ほぼ同義に使われることが多いが、本来は
その個人を特徴づけている全体的な行動様式を指すのが人格であり、人格のなかでもとりわけ情緒的、意思的な側面の特徴を強調するときに用いられるのが性格である。
人格形成に影響を及ぼす要因は、大きく、遺伝的要因と環境的要因に分けることが出来る。これらの要因に対し、古くから「遺伝か環境か」という論議がなされ研究されてきた。しかし、今日では、人格は遺伝的要因と環境的要因が互いにからみあって形成されるという考え方が一般的となっている。つまり、「遺伝も環境も」両者の相互作用によるものであるといえる。
特に人格形成に影響を与える環境的要因について、①家庭的要因、②学校集団的要因③社会・文化的要因の3つに分け述べることにする。
① 人格形成に影響を与える家庭的要因
家庭環境は、環境的要因の中でも子供の人格形成にとって、特に重要な位置をしめている。子供にとって家庭は、単に空腹や苦痛などの不快に対して要求を満足させるためにだけでなく、家族の暖かい愛情があるかどうかが健全な人格形成を決める要因にもなる。
現在の社会では、子供を直接育てるのは、多くの場合その母親であり、子供はこの母親を中心として父親、祖父母、兄弟姉妹など、家庭環境から与えられるものを受け入れて成長する。つまり家庭においては、母と子供の関係が子供の人格形成にとって、最も大きな影響力を持っているといえる。
兄弟姉妹の関係からは、協力、競争、友情
優越、指導などの性格特性が形成される。この兄弟姉妹の関係を欠く一人っ子は、社会性に欠け、また親の溺愛、過保護、加干渉により、依頼心が強く、わがまま、神経質、落ち着きがないなどの性格を示すことが多く見られる。
出生順位も個人の人格形成に関係し、長子は独立的、慎重など、次子は活動的、勝ち気など、末子は一人っ子に似た特性を示す傾向が見られる。
このように家庭は、子供を社会活動に参加できる健全で社会化された人格に成長させる機能をもっている。
人格形成に影響を与える学校集団要因
学校は家庭とともに児童・生徒の人格形成に非常に重要な影響を与える。
学校には、それぞれ法律や秩序があり、さまざまな家庭の出身者との交流がある。そして、集団を維持するうえで障害となる態度には、一定の制
人格形成に影響を及ぼす環境要因とその役割について述べよ
人間の行動は、まわりの状況や刺激など環境によって影響される。しかし、環境の諸条件が全く同じであっても、その時の個人の行動や思考が同一であるとは限らない。
「人格」とは、その人の行動や思考の基準であり、それぞれの個人に特徴的な、また一貫し持続性をもった性質であるといえる。一般的に心理学でいう人格とは、道徳的な意味での「良い、悪い」の価値評価を持っていない。ごく簡単にいえば、人としての特性、すなわち「その人らしさ」という意味で取り扱っている。人それぞれが属している社会をもっていることを示している。この一連の行動パターンを性役割という。男と女の行動の違いは、身体的・生物学的レベルでも規定されているのは事実だが、性役割といった社会的な役割文化は、主として社会・文化レベルにおいて学習されたものであると考えられている。
性格という個人差の形成には、多くの要因が考えられるが、おおまかには、生得的な行動の個人差を決める気質的傾向などの個体的・生物学的要因が基礎にあり、それに社会環境からの働きかけがかかわって一定の性格傾向が形づくられると考えら...