カウンセリング演習1

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    資料紹介

     カウンセリングの歴史と課題について述べ
    これからのカウンセラーに必要な資質とは何か述べよ。
     カウンセリングとは、社会生活を営む上で何らかの問題もしくは障害などによって、精神的苦痛を抱える人(クライエント)に種々の理論や技法を使い心理的援助を行うことであり、基本的に身体的・精神的に健康な人を対象とし、クライエントの葛藤や不安、不適応など比較的軽い一時的な問題の解決を図ることを目的としている。また、神経症や人格的な問題を持つクライエントには心理療法を使った援助を行うことが多いが、カウンセリングと心理療法の区別は明確ではない。
     カウンセリングは比較的新しい学問領域であるためいくつもの理論があるが、その背景や歴史の考察を行いながら、これからのカウンセリングの課題、カウンセリングを行うカウンセラーに必要な資質について述べる。
    1)カウンセリングの歴史
     「カウンセリング」という言葉は1908年アメリカのパーソンズが職業指導助言を行う中で使用された。特定の職業に必要な能力と適性の分析と個人の能力・適性・資質の分析を行い、個人と職業を結びつけ、個人が適性にあった職業を見つけ、適応していくよう指導助言することが目的であった。また、アメリカのソーンダイクによる教育的測定運動による人間の能力を量的に測定する採点テストが普及、フランスのビネーの知的障害を判別する知能検査という測定法が開発され精神測定運動が発展した。第一次世界大戦後にはアメリカの職業指導運動と融合し、その結果個人の能力やパーソナリティの測定が行われるようになった。
     1930年〜40年代にかけて、人間が行動を起こす原因となる同期や感情を探る運動が盛んになった。特にロジャーズのクライエント中心療法が注目を浴びた。クライエントを主体としてとらえ、情緒的側面を重視し、心理的な成長や適応するための心や感覚をつきうながす必要性を唱えた。このようなロジャーズの説が現代カウンセリングの基本的な姿勢になっている。
    2)カウンセリングの課題
     このようにカウンセリングは職業テストや心理テストに基づいた、指導助言から始まりクライエント自身が問題を発見、合理的な判断力があるということが前提となっていたため、現在の心理療法とは明確に線引きされていた。しかし、第二次世界大戦後から現代にかけて社会は複雑多様化し、個人の生き方もており、心理的な問題も複雑化してきている。
    それにともない、カウンセリングもクライエントの診断や測定、結果そのものよりもプロセスを重視するようになり、人間そのものを問題にする視点を持つことが必要になってきている。精神分析学や様々な心理学の理論など技術的な側面からクライエントにアプローチする手段だけでなく社会が変化する中でクライエントのパーソナリティと社会との関連を多角的に見つめ、理解を深める必要性があると考えられる。
    3)これからのカウンセラーに必要な資質とはなにか
     現在のカウンセリングにおいて社会の変化にともない個人の問題も多様化してきている。カウンセリングではクライエントと交流し互いに影響を与えることによってクライエントをよりよい状態に変化させ成長を促すような援助を行わねばならない。そのためにはクライエントのパーソナリティと感情をとらえ、クライエントの自己解決能力をひきだす感性と能力が必要である。クライエントのパーソナリティや欲求を理解するために分析や心理テストを使用するのもひとつの手段であり、いろんな心理学の理論や心理療法などの知識も必要だが、第一にクライエントの話をよく「聴く」技術、また「捉え

    資料の原本内容

     カウンセリングの歴史と課題について述べ
    これからのカウンセラーに必要な資質とは何か述べよ。
     カウンセリングとは、社会生活を営む上で何らかの問題もしくは障害などによって、精神的苦痛を抱える人(クライエント)に種々の理論や技法を使い心理的援助を行うことであり、基本的に身体的・精神的に健康な人を対象とし、クライエントの葛藤や不安、不適応など比較的軽い一時的な問題の解決を図ることを目的としている。また、神経症や人格的な問題を持つクライエントには心理療法を使った援助を行うことが多いが、カウンセリングと心理療法の区別は明確ではない。
     カウンセリングは比較的新しい学問領域であるためいくつもの理論があるが、その背景や歴史の考察を行いながら、これからのカウンセリングの課題、カウンセリングを行うカウンセラーに必要な資質について述べる。
    1)カウンセリングの歴史
     「カウンセリング」という言葉は1908年アメリカのパーソンズが職業指導助言を行う中で使用された。特定の職業に必要な能力と適性の分析と個人の能力・適性・資質の分析を行い、個人と職業を結びつけ、個人が適性にあった職業を見つけ、適応していくよう指導助言することが目的であった。また、アメリカのソーンダイクによる教育的測定運動による人間の能力を量的に測定する採点テストが普及、フランスのビネーの知的障害を判別する知能検査という測定法が開発され精神測定運動が発展した。第一次世界大戦後にはアメリカの職業指導運動と融合し、その結果個人の能力やパーソナリティの測定が行われるようになった。
     1930年〜40年代にかけて、人間が行動を起こす原因となる同期や感情を探る運動が盛んになった。特にロジャーズのクライエント中心療法が注目を浴びた。クライエントを主体としてとらえ、情緒的側面を重視し、心理的な成長や適応するための心や感覚をつきうながす必要性を唱えた。このようなロジャーズの説が現代カウンセリングの基本的な姿勢になっている。
    2)カウンセリングの課題
     このようにカウンセリングは職業テストや心理テストに基づいた、指導助言から始まりクライエント自身が問題を発見、合理的な判断力があるということが前提となっていたため、現在の心理療法とは明確に線引きされていた。しかし、第二次世界大戦後から現代にかけて社会は複雑多様化し、個人の生き方もており、心理的な問題も複雑化してきている。
    それにともない、カウンセリングもクライエントの診断や測定、結果そのものよりもプロセスを重視するようになり、人間そのものを問題にする視点を持つことが必要になってきている。精神分析学や様々な心理学の理論など技術的な側面からクライエントにアプローチする手段だけでなく社会が変化する中でクライエントのパーソナリティと社会との関連を多角的に見つめ、理解を深める必要性があると考えられる。
    3)これからのカウンセラーに必要な資質とはなにか
     現在のカウンセリングにおいて社会の変化にともない個人の問題も多様化してきている。カウンセリングではクライエントと交流し互いに影響を与えることによってクライエントをよりよい状態に変化させ成長を促すような援助を行わねばならない。そのためにはクライエントのパーソナリティと感情をとらえ、クライエントの自己解決能力をひきだす感性と能力が必要である。クライエントのパーソナリティや欲求を理解するために分析や心理テストを使用するのもひとつの手段であり、いろんな心理学の理論や心理療法などの知識も必要だが、第一にクライエントの話をよく「聴く」技術、また「捉える」技術が必要であると思もわれる。情報収集として知るために聞くのではなく、クライエントの心情や感情、本当は何を求めているのかを感じとるような「聴く」姿勢と言葉だけでなく非言語のサイン(表情やしぐさ、声のトーンなど)もとらえる洞察力も必要である。
     また、カウンセリングはクライエントとカウンセラーの交流であり言葉を媒介として行われるため、クライエントとカウンセラーの間に信頼関係が成り立たないと援助を行うことは難しい。まずカウンセラーはクライエント本来の生きる力や可能性を信頼することが大切である。そしてクライエントとの関係の中で、カウンセラーがクライエントに対し、態度に一貫性を持つこと、またクライエントの存在を無条件に肯定的に尊重していること、またクライエントの心情や感情を批判せずにありのままに沿って共感的理解を示すことにより、クライエントととのあいだに信頼関係が構築される。このようにクライエントの力と可能性を信頼し理解しようという姿勢を明確に伝え、クライエントの信頼を得れるような関係を構築する力量が必要である。そのようにクライエントを受容、支持しながらクライエントが話す内容や意味、感情を明確化してクライエント自身が気づくように促さねばならない。そのためにはクライエントの言葉にならない感情を見つける感性と想像力、またその感情を明確化してクライエントに表現する能力も資質として必要だと思われる。そのような感情を言葉として表現するだけではなくクライエントに気づくよう促す技術と変化を受け入れるまで待つ忍耐強さも必要である。
     このようにカウンセラーに求められる資質として、クライエントと信頼関係が構築できること、共感的理解を示すことができること、クライエントが自身の可能性に気づき、変化を受け入れるまで待つ忍耐強さが必要だと思われる。またクライエントの言葉にできない感情や状態を感じとる感性や想像力、それを明確化する表現力も大切だといえるだろう。
     このようにカウンセリングとは職業指導助言から始まったが現在は社会が多様・複雑化し個人が抱える問題も変化してきている。それにともないカウンセラーも求められるものが多様化してきているように思われる。
     そのなかでカウンセラーとして必要な資質のひとつとしてクライエントの可能性を信頼し、相互に影響しながら成長していくとともに、カウンセラーも自分自身の資質や特性を見つめ自己覚知をしていく必要性があるのではないだろうか。そのためにはカウンセラーとして社会の変化や新しい知識を得るための努力、社会と人間に対する幅広い興味を持つことであり、また、日常生活において自分自身や身近な人の感情や心情を観察したり表現をしたりすることにより人間への理解、クライエントを理解しようという姿勢も自然に身につけ「聴く」能力を育成し、臨床経験を積み重ねていく努力ができる資質が必要だと思われる。
    参考文献:新・社会福祉要説
         中島恒男著 ミネルヴァ書房
         カウンセリングを学ぶ
         水島恵一他 有斐閣新書
         図解雑学 臨床心理学
         松原達哉編著 ナツメ社

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