社会民主主義とは
社会民主主義(しゃかいみんしゅしゅぎ Social Democracy)は、
政治的平等の追求と、経済的平等の追求をともに希求する政治思想・社会思想である。
社会民主主義の特徴
いわゆる「共産主義諸国」で実施されたソ連型社会主義が、政治的平等や個人の自由の追求、民主政治の確立よりも、貧困の克服といった経済的平等を優先させる(ゆえに個人の人権は抑圧されることになった)のに対して、社会民主主義は、その名の通り、民主主義を前提とした社会的平等を目標にしている。
政治の場における利益の追求・配分の追求においては、広範な社会運動とともに、普通選挙とそれにもとづく議会での多数派の獲得を方法とするのが、社会民主主義の運動に広範にみられるひとつの特徴である。
西ヨーロッパおよび北ヨーロッパでは、社会民主主義政党が政権を担当することも多く、市場経済・議会制民主主義の中で福祉・環境などを重視した政策を実施しているところが多い。その最も顕著な例がスウェーデンの社会民主労働党政権である。但し、環境問題と社会民主主義とは親和性が高いが、本質的には別問題である。
ヨーロッパの社会民主主義政党の多くは国防・安全保障などの面では、軍隊の保有や軍事同盟への参加を容認しており、この点は日本の「社会民主党」とは異なっている。そもそも社会民主主義と平和主義は、環境問題同様親和性は高いものの別問題である。
なお、冷戦時代に西ヨーロッパの社会民主主義政党が政権を取った場合、西ドイツのヴィリー・ブラント首相のように東側との関係改善を進めることはあっても、一貫して西側陣営の一員であることに変わりはなかった。また、北欧諸国はいわゆるノルディックバランスを構築し、東西両陣営の狭間で巧妙な舵取りを行った。
また、いわゆる社会主義国と違って多党制民主主義を全面肯定しているし、労働者階級の支持を受けてはいてもレーニンのような武力革命は主張しておらず、完全に否定している。こういった社会民主主義の考え方は、西欧ではドイツ社会民主党の「バート・ゴーデスベルク綱領」以降定着したといえる。
東欧革命に前後して、イタリア共産党が衣替えした左翼民主党や旧東欧諸国の社会民主主義政党のように、かつての共産党が社会民主主義政党へと転換している例もある。
1980年代以降の新自由主義の台頭を受け、20世紀末の西ヨーロッパでは、新しい社会民主主義と呼ばれるリニューアルされた中道左派政党を含む政権が台頭した。イギリス労働党のトニー・ブレアの唱える「第三の道」路線は、他の西ヨーロッパの社民政党にも少なからず影響を与えているが、一面ではサッチャー路線を継承しており、旧来からの支持者を失ってもいる。また、ドイツ社会民主党でも、ゲアハルト・シュレーダーの推し進めた新中道路線により、左派の支持者が離党して新党を結成するなど、分裂の様相を呈している。
日本では、社会主義といえば、共産主義を連想するが、西ヨーロッパでは社会民主主義を連想するのが普通であり、各国の社会民主主義政党は社会主義インターナショナルという国際組織に加盟している。
情報提供先 -> http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9