超高齢社会を迎えるわが国において、高齢者虐待は誰でも当てはまる共通の課題となっている。高齢者の人権を侵害する虐待は、高齢者自身が自分で訴えるだけの体力や知力が衰えており、その上、「お世話をかけている」という意識が社会的に声をあげることを妨げている。子どもと正反対に、未来のない者として扱われ、厄介者として受け止められている事が多いのも一つの要因である。「育児や介護は女性の仕事」という性による役割分業意識が強いわが国では、家庭内の長期にわたる介護が、同居の「嫁」の役割を強要される。その結果、それまでの嫁姑の人間関係の確執も手伝って、食事を与えない、オムツを換えない「介護拒否・放棄」などの虐待に及び、夫(息子)に不満をぶつけることから、息子の殴る、蹴るなどの「身体的虐待」を引き起こす。また、介護疲れから、心ない言葉を浴びせたり、無視、脅迫などの「心理的虐待」に及ぶ。高齢者の在宅介護への負担が、高齢者にとっても、介護者にとっても限度を超えた結果、「高齢者虐待」を生み出していると考えられる。高齢者介護は「女性が家庭で」を担うにはあまりにも負担が大きすぎ、それを少しでも社会で担っていく一つの道が公的介護保険であると考える。
児童虐待もまた、家庭内の密室の行為であり、最も多いのは、親による「身体的虐待」である。虐待する親の背景には、子供時代に自分自身も虐待を受けていた、家庭内に現在ストレス状況があったり、体罰を適切な躾の手段と考えているといったことがある。幼い頃から、親にひどい取り扱いを受けてきた人は、基本的安定感が十分に形成できない。成長した後も、慢性の欲求不満を持ち続け、他人からの愛情や慰めを一方的に求めている。
超高齢社会を迎えるわが国において、高齢者虐待は誰でも当てはまる共通の課題となっている。高齢者の人権を侵害する虐待は、高齢者自身が自分で訴えるだけの体力や知力が衰えており、その上、「お世話をかけている」という意識が社会的に声をあげることを妨げている。子どもと正反対に、未来のない者として扱われ、厄介者として受け止められている事が多いのも一つの要因である。「育児や介護は女性の仕事」という性による役割分業意識が強いわが国では、家庭内の長期にわたる介護が、同居の「嫁」の役割を強要される。その結果、それまでの嫁姑の人間関係の確執も手伝って、食事を与えない、オムツを換えない「介護拒否・放棄」などの虐待に及び...