恥や羞恥の役割について分析しています。
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はじめに
恥(shame)/羞恥(embarrassment)というものは、どのような面で人間の適応上役立って いるのだろうか。例えば、クラスメイトの前で先生をお母さんと呼んでしまったときや、授 業中に空腹に襲われて腹が鳴ってしまったときなどに恥ずかしいと感じるだろう。このよ うに恥ずかしいという感情を伴うときは、あまり良いシチュエーションではない。恥は不快 情動であるにもかかわらず、ほぼすべての社会で普遍的に観察される。日常的な不快情動が なぜ普遍的に保存されているのか。不快なのに残存しているという進化的パズルは、恥には 生存・繁殖上の利得があるはずだという適応仮説を導く。近年、恥は社会的...