京都芸術大学通信教育部 2021年・芸術史講義(日本)2【評価A】レポート試験

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    資料紹介

    ※このまま提出せず、参考資料としてお使いください。

    課題
    15章を通じ、日本美術の流れが理解されているかを確認します。1~15章のうちの二つの章から一点ずつ作品を選び、それぞれの時代背景を踏まえ、必要があれば他のアジア地域の美術との関連も含め、選んだ二つの作品の特質についてあわせて1200字程度で述べなさい。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    ●解答●

    ・「松林図屏風」(5 章)

    「松林図屏風」は、安土桃山時代に活躍した絵師・長谷川等伯の代表作で、近世水墨画の傑作である。制作年代は不明とされているが、26 歳という若さでこの世を去った息子・久蔵を思い、その悲しみの中で描いたと言われているため、おそらく等伯が 50 代なかばの、文禄 3~4 年の頃の作品と推定される。

    この屏風に描かれている松林は、等伯が私淑した中国の水墨画家・牧谿(もっけい)の影響が見られるものの、藁筆や硬くなった筆を大胆に使い、模倣の域を越えて極めて粗い筆致で、墨一色の濃淡のみで力強く描かれているのが特徴である。

    しかしながら、この屏風は、不自然な紙の継ぎ目、左隻と右隻で寸法の異なる紙幅、描かれた地面の輪郭のずれ、両端で切れた松の木、「長谷川」と「等伯」の印が基準印と異なっているなど、いまだ謎が多い作品でもある。

    このことから、「『松林図屏風』は、もともと襖の下絵だった」「襖絵として描き始めたものの、制作の途中で何らかの理由により屏風に改装された」「画才に恵まれながらも、若くして急逝した息子・久蔵を思い、悲しみのままに故郷の松林を描いた私的な作品...

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