ヴァンデグラフ起電機

閲覧数607
ダウンロード数0
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    資料の原本内容

    ヴァンデグラフ起電機
    ヴァンデグラフ起電機(英: Van de Graaff
    generator)は静電発電機の一種。アメリカ人物理学者、R・J・ヴァン・デ・グラフによって1929
    年に発明された。バンデグラフ、ヴァンデグラーフ、ヴァン・デ・グラフなどとも表記する。ロー
    ラーによってゴムベルトを回転させて電荷を運び、絶縁性の柱の上に置かれた中空の金属球に溜め
    ていくことで非常に高い電位差を作り出す。高圧の直流電圧を発生させることができる一方、電流
    は低く抑えられる。高電位部を空気で絶縁するタイプの装置では、近年5
    MVの電位差が得られる。卓上用の簡便な機種でも電位差は数100
    kVに達し、目に見える大きさのスパーク(英語版)を発生させるのに十分なエネルギーを蓄えるこ
    とができる。簡便なヴァンデグラフ起電機は静電気学の教材として、またはサイエンスショーや科
    学館での展示に用いられる。

    ヴァンデグラフ起電機は物理研究用の粒子加速器として発展してきた。この種の起電機で得られる
    高電圧は、真空中で亜原子粒子を高速にまで加速させるために有用であった。加速エネルギーの大
    きさでは1930年代に考案されたサイクロトロン加速器に及ばないものの、エネルギーの安定性およ
    び制御性に優れ、粒子ビームの拡がりが小さいなどの利点があり、改良を重ねながら今日まで用い
    られ続けている。核物理学研究以外にも、核医学分野で高エネルギー粒子の発生やX線ラジオグラ
    フィに用いられたり、加速器質量分析(英語版)をはじめとする微量元素分析や、材料分野でのイ
    オン注入へ応用されることも一般的である。

    ヴァンデグラフ装置のターミナル電位はアーク放電やコロナ放電の発生により制限されるが、現代
    の実用ヴァンデグラフ装置は絶縁ガスを満たした加圧タンクに収められているのが一般的であり、
    これにより電位差は最大で約25
    MVに達する。実質的な電位差を増大させるため、グラウンドから高電位ターミナルまでを往還させ
    ながら多段階の加速を行う方式はタンデム型ヴァンデグラフ加速器(Tandem Van de

    Graaff)と呼ばれる。例として、25
    MVのターミナル電位を持つタンデム加速器で多価の重イオンを加速させると、400
    MeV以上のエネルギーを持つイオンビームを作り出すことができる。

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。