感情の機能を説明した上で、感情が有害か無害はについて日常的な具体例を使ってまとめよ
感情が有害か、無害かである議論について、現在では「感情が人間の行動や生活に役立っている」という「感情有用説」が優勢である。シオタ・カラート(2012)は「感情は個体及び種の生存に役立つという適応的側面をもつ」と定義している。ここでいう適応的側面とは、例えば前から車が猛スピードで走ってきた時に「恐怖」という感情を抱かなければ車にひかれてしまい、「嫌悪」という感情がなければ腐った食べ物でも口にしてしまう。このように、感情は「個体の生存を有利にする」という機能をもっているということができる。(今田ら2018)
このような研究はダーウィンによっても行われている。ダーウィンは1872年に著書『人及び動物の表情について』で、生体が攻撃したり、拒絶したりするときの目や口の機能的運動が有用な連合的習性となり、表情として固定した「進化論的表情論」を主張している。具体的には、恐怖を感じた時には、相手の情報をより多く取り込もうと目が見開き、嫌悪を抱く時には外部からの刺激を遮断しようと目や鼻腔が閉じるような表情になるという習性を指す。また、戸田正直もアージ理論の中で、アージ(衝動)は野生環境で生き延びるため...