倫理学のレポートで、死刑制度と現代日本の関係について論じたものです。倫理学、応用倫理学、政治学に関連する内容になっています。本文の字数は4347字ほどです。
1.はじめに
死刑判決を受けた人が、再審で無罪判決を受けて釈放された事例が戦後の日本では4件ほどある1。さらに袴田事件の特別抗告審が認められ、袴田巌氏も無罪になるならば、5件になる。拘置所で拘束されていた袴田氏は、死刑に対する恐怖より大きな精神的苦痛を負ったと推測できる。また飯塚事件のように死刑執行済でありながら、冤罪の可能性が高いケースも数多くある。国際社会では、人権侵害という理由で死刑廃止を求める声が上がっている。このように、死刑制度には、冤罪問題、人権侵害、死刑囚に死刑の恐怖を過剰に与えるなど、欠陥が多いという問題点がある。よって、現代の日本において、死刑制度は必要ないのではないかと思われる。このことについて、世界における死刑制度のあり方をた。
2.世界における死刑制度のあり方
世界における死刑制度のあり方として、「人権侵害による死刑制度廃止論」、「死刑の犯罪抑止力」、「同害報復的思考死刑廃止論」というものがある。
2.(ⅰ)人権侵害
世界的な人権侵害による死刑廃止の声が上がってきた契機は、国際人権団体アムネステターナショナルが活動を開始したことにある。アムネスティは1977...