文法
文法(ぶんぽう、英:
grammar)とは、言語の体系、およびそのモデル、およびそれをもとにした、ある個別言語の話し
手が従うべき規範である。この記事ではもっぱら自然言語の文法について扱う。形式言語の文法に
ついては形式文法の記事を参照のこと。なお、「文法論(grammar)」という語が指すものと「統
語論(syntax、分野等によっては構文論とも)」という語が指すものが同一のものであるとして扱
われている場合もあるが、ここでは別とする。
言語の体系性は、伝統的に規則として捉えられてきた。ある個別言語の規則を、その言語の話し手
の従うべき規範として述べたものが規範文法 (prescriptive grammar)
である。これは、言語政策や言語教育における基準となることを目的としている。
文法研究は規範文法を作ることから始まったが、規範文法はその性質上、ある規則を「正しい」も
のとして採用する一方で、それに反する使い方を「乱れた」「間違った」ものとして文法から排除
した。しかし、言語学はそのような「乱れた」言葉遣いに見られる規則性をも文法に取り込みたい
と考え、ある言語の体系性を価値判断を伴わずに記述することを目指した。これが記述文法
(descriptive grammar) である。
また、個別言語の記述を超えて、言語の文法一般に見られる体系性を捉える理論も文法と呼ばれ、
生成文法や認知文法を始め多くの文法理論が登場した。
生成文法では、広義の文法は言語能力であると考え、音声や意味から独立した自律的な構造を想定
し、それを特に文法と呼んでいる。一方認知文法を始めとする認知言語学的アプローチでは、文法
は音声形式と意味の対からなる記号の体系であると考え、言語運用によって形作られる動的な体系
であるとしている。
文法は普通、言語の音(手話の場合手指動作とNMS)の仕組みを扱う音韻論、語の構造を扱う形態
論、文の構造を扱う統語論、語や文の意味を扱う意味論、文の意味と場面の関わりを扱う語用論な
ど階層ごとに論じられる。
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