1 目的
変圧器の動作原理を理解し、無負荷試験・短絡試験から負荷運転特性を知る方法を習得する。
2 原理
変圧の基本原理
入力巻線(一次巻線)の交流電流により変化する磁場を発生させ、それを相互インダクタンスで結合された出力巻線(二次巻線)に伝え、再び電流に変換している。
変圧器によって電圧を変更することを変圧(へんあつ)といい、電圧を上昇させることを昇圧(しょうあつ)、逆に下降させることを降圧(こうあつ)という。
変圧比
一次電圧 V1 と二次電圧 V2 の比を変圧比(へんあつひ)という。 また、一次巻数 N1 と二次巻数 N2 の比を巻数比(まきすうひ)という。 変圧比と巻数比は等しい。
変流比
一次電流 I1 と二次電流 I2 の比を変流比(へんりゅうひ)という。 変流比は、変圧比および巻数比の逆数に等しい。
励磁電流
鉄心に主磁束を形成する電流が励磁電流(れいじでんりゅう)である。理想的な変圧器では、励磁電流の位相は一次電圧よりも 90° 遅れる。実際には鉄心の磁気飽和やヒステリシス現象により励磁電流の波形は主に奇数次の高調波ひずみを含む。
損失
無負荷損(鉄損): 通電(励磁)している場合負荷の大きさに関係なく生じる損失。
負荷損 : 負荷電流の2乗にほぼ比例する損失である。
銅損 : 巻線の電気伝導体の電気抵抗によるジュール損。
漂遊負荷損 : 漏れ磁束による変圧器各部に生ずる渦電流損。
図2.1に理想変圧器の無負荷時の回路図を示す。
この回路においてIoは磁束をつくるためのもので励磁電流という。また一次側電圧V1、二次側電圧V2の比である変圧比と、コイルの一次側の巻き数N1、二次側の巻き数N2の比は
の関係であり、これを巻線比aで表す。
次に負荷があるときの回路図を図2.2に示す。
この回路において式(1)の関係が成り立ち、また
から
となることがわかる。
実際の変圧比は次の二つのものがある。
(a)鉄損を表す抵抗Ro
(b) 一次巻線抵抗r1
一次巻線もれインダクタンスl1
二次巻線抵抗r2
二次巻線もれインダクタンスl2
上の点をふまえた実際の変圧器の回路図を図2.3に示す
この回路において鉄損回路は回路の前に持ってくることができるので図2.4のように回路を変形することができる。
図2.4においてx-x’からみたときのインピーダンスZxx’は
となる。
以上から回路を図2.5のように変形することができる
この回路において
である。これを二次側回路の一次側への換算という。
3 使用器具
台数 型番 シリアルナンバー メーカー
電流計 2台 2013 61AE0041 YOKOGAWA
2013 69AE6078 YOKOGAWA
電力計 2台 2041 60AN1760 YOKOGAWA
2041 67AN0922 YOKOGAWA
デジタルマルチメーター 2台 MD-706 9010041 Shimadzu
MD-706 9010064 Shimadzu
スライドドランス 1台 S-130-15 YAMABISHI
昇圧用変圧器 1台 D40-23 9880.1 SEIKOSHA
供試用変圧器 1台 D40-23 9880.2 SEIKOSHA
総合負荷装置 1台 L91-112 YAMABISHI
4 実験方法
4.
1 目的
変圧器の動作原理を理解し、無負荷試験・短絡試験から負荷運転特性を知る方法を習得する。
2 原理
変圧の基本原理
入力巻線(一次巻線)の交流電流により変化する磁場を発生させ、それを相互インダクタンスで結合された出力巻線(二次巻線)に伝え、再び電流に変換している。
変圧器によって電圧を変更することを変圧(へんあつ)といい、電圧を上昇させることを昇圧(しょうあつ)、逆に下降させることを降圧(こうあつ)という。
変圧比
一次電圧 V1 と二次電圧 V2 の比を変圧比(へんあつひ)という。 また、一次巻数 N1 と二次巻数 N2 の比を巻数比(まきすうひ)という。 変圧比と巻数比は等しい。
変流比
一次電流 I1 と二次電流 I2 の比を変流比(へんりゅうひ)という。 変流比は、変圧比および巻数比の逆数に等しい。
励磁電流
鉄心に主磁束を形成する電流が励磁電流(れいじでんりゅう)である。理想的な変圧器では、励磁電流の位相は一次電圧よりも 90° 遅れる。実際には鉄心の磁気飽和やヒステリシス現象により励磁電流の波形は主に奇数次の高調波ひずみを含む。
損失
無負荷損(鉄損): 通電(励磁...