1.はじめに
行政法演習Ⅱでは7月13日に総務省山形行政評価事務所を訪問した。今回のレポートでは、総務省山形行政評価事務所を訪れた事に関して、私がゼミ内で報告した政策評価を中心に述べていきたいと思う。
2.総務省山形行政評価事務所
総務省山形行政評価事務所は、「政策評価、行政評価・監視業務」・「行政相談」を中心とした業務をつかさどっている。今年度、総務省山形行政評価事務所は、① PFI事業に関する政策評価 (政策評価)、②行政手続等における本人確認に関する調査(行政評価・監視、全国計画調査)、③冬期における道路の利便性の確保等に関する行政評価・監視-国道を中心として-(行政評価・監視、地域計画調査)を実施中(もしくは実施予定)である。
3.政策評価の問題点について
政策制度の評価方式の概要については以前のゼミで報告したので、今回は、政策評価に内在する問題点を述べていきたい。
政策評価方式の核心は、象項目の指標と目標値の事前の設定にある。指標設定の過程は、複雑な対象事象を把握するための範囲・程度・価値・次元・特性を決定する過程であり、その過程を経て設定された指標は、様々な膨大なデータの収集・加工・分析、あるいは維持管理が一つのシステムとして確立された、集約された情報となる。また、指標の中に目標値が設定されると、行政活動を実施した際の達成度、能率、実施の成果などの程度を判定する基準が確立することとなる。
情報は、具体的でかつ、それに対する十分な加工・分析が施された集約的なものであればあるほど、誰にでも容易に理解され、広く活用されるようになる。従って、指標化が、管理対象と成果レベルの明確化に寄与し、行政の可視性を高めるとともに、評価における分析と結果の活用にとって共通の根拠となり、広く行政内外のコミュニケーションを促進すると期待される。しかし、指標による情報は、その背後にある、設定者による主観的解釈や読み替え操作という設定過程における論理が、評価者を含めて第三者には不明かつ不透明であるから、常に信頼性という問題を抱えざるを得ない。
今現在行われている政策評価制度は、導入までの準備期間の短さや政策評価そのものへの職員の不慣れもあって、既存の政策構造を前提とし、対象政策の選定、指標・目標値の設定をはじめ、評価が行政組織内部の閉じたものとなっている。それゆえ、政策評価は、行政機関内の自己点検活動にすぎず、「お手盛り評価」に終始してしまうという批判が出始めている。この批判の主旨は次のようなものであると考えられる。たとえ、成果・顧客志向を掲げて、指標・目標値の設定状況、評価結果の情報公開を事後的に行っても、国民はお知らせを受けるに留まるのであって、評価情報に基づき、マネジメントの改善、政策の改善を行うといっても、国民は評価のカヤの外であるため、情報の非対称性により、自らの意思・利益をそこに反映することができず、結局,行政側の利益・都合・論理で政策展開が行われることとなるというものである。
拙速に思われる評価制度には、当然、政策評価論の常套句のような上記の批判も含まれるが、より本質的な問題は、指標化による政策構造の単純化・固定化である。すなわち、政策,及び行政活動には、様々な価値、意義、意図があるにもかかわらず、設定者の価値が多分に反映される指標に表現された事柄とその結果=業績に限定して管理するということは,一面では行政をアカウンタブルにするが、逆に言えば、行政責任を目標の達成のみに限定していくことになり、それは、成果・顧客志向の名の下で、行政活動の単純化
1.はじめに
行政法演習Ⅱでは7月13日に総務省山形行政評価事務所を訪問した。今回のレポートでは、総務省山形行政評価事務所を訪れた事に関して、私がゼミ内で報告した政策評価を中心に述べていきたいと思う。
2.総務省山形行政評価事務所
総務省山形行政評価事務所は、「政策評価、行政評価・監視業務」・「行政相談」を中心とした業務をつかさどっている。今年度、総務省山形行政評価事務所は、① PFI事業に関する政策評価 (政策評価)、②行政手続等における本人確認に関する調査(行政評価・監視、全国計画調査)、③冬期における道路の利便性の確保等に関する行政評価・監視-国道を中心として-(行政評価・監視、地域計画調査)を実施中(もしくは実施予定)である。
3.政策評価の問題点について
政策制度の評価方式の概要については以前のゼミで報告したので、今回は、政策評価に内在する問題点を述べていきたい。
政策評価方式の核心は、象項目の指標と目標値の事前の設定にある。指標設定の過程は、複雑な対象事象を把握するための範囲・程度・価値・次元・特性を決定する過程であり、その過程を経て設定された指標は、様々な膨大なデータ...