私たちは、人生を通じて様々な人間関係を構築している。それは夫婦・親子関係もあれば、友人関係・職場の人間関係もあり、その種類は多様である。
専門職における援助関係は、上述の人間関係とは異なり一過性の関係であり、そこには情緒的な要素が浸透することは少ない。援助者と対象者は互いに人間としては基本的に対等であるが、専門職は援助者であり、対象者は被援助者であるから、友人関係のような平等性や相互依存性は存在しないのである。
つまり、専門的援助関係は対象者と専門職が関わりを持ち、対象者のニーズに焦点を当てながら問題解決のために意図的に働きかける関係なのであるが、その関係を構築するためには信頼関係(ラポール)を形成することが不可欠なのである。
信頼関係は、援助のための知識や技術を豊富に持つことのみで得られるものではない。誰がその技術や知識を使い、誰が対象者に共感し受け入れ、誰が対象者に適切に反応しなければならないのか。それは援助者自身なのである。すなわち専門的援助関係を形成し維持していくためには、援助者自身がどのような人間であるか、また専門職としての役割を理解しておくことが必要である。
対象者...